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その107

大局的な視点で計算を試みる

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 解き方という観点から見て前回の3囚人の設問は、他の人間の行動や発言をベースにして解いていく論理思考の問題でした。
 このような論理思考を要する問題はこれまでにも多くみてきましたが、いずれも中身はまったく違うものでした。
 しかし中身は違っても、過去の問題で訓練されているかどうかで、その正解への糸口や突破口を見つけるにあたり大きな差がでてくるということが、よくわかったのではないかと思います。

 さて、今号の設問はどうでしょうか。それでは解説に移ります。

問題 設問107    ある国の王様が、射撃が百発百中の名手を呼んで、「おまえは頭もよく、また3cm 四方の的に50発の弾をすべて命中させているほどの正確な腕をもっていることを、わしは過去何回も見てきた。そこで今度は、銃も的までの距離もその他すべてまったく同じ条件で、少し大きい70cm 四方の的に50発の弾をお互いすべて15cm 以上離して命中させることができるか」と言いました。さて、どうなったでしょうか。

設問107のイメージ写真

 これまで106個の設問を見てきましたが、今回の問題を見てどう思われましたか。本連載を最近になって知ったという方はわからないかもしれませんが、連載を長く愛読されている方は、これまでのものとはまったくジャンルを異にする一風変わった設問との印象を持たれたのではないでしょうか。

 たしかにこれは、前問のような論理思考の問題でもなければ、もちろんフェルミ問題でもありません。また正解はなくともそれ相応の説得力のある回答が出来るかどうか、いわゆるプレゼン力にも通じる能力を見ようとしている問題でもなさそうで、さらに数字が出ているからといって、確率問題でもなければ物理の問題でもないようです。

 では、一風変わった問題だと、どこで感じるのでしょうか。
おそらくそれは、的と言えば、普通、中心一点に狙いを定めて射る様を想像するものですが、これはその逆で、技術的に折紙付きの名手に対し、的をバラバラにして撃つように仕向けている点、つまり、与えられた範囲内で、それぞれの弾をできるだけ離して撃ち込む、というところだと思います。

 そこで、これまでしばしばやってきたように、当連載「その73」の中に列記してある「問題の分類とその解法糸口や突破口となる対処法」の助けを借りて、この一風変わった印象を受ける当設問を解く参考となりそうな項目を探してみます。

 すると、この設問は「複雑に見える問題、数量が多い問題、読んだだけで気後れしてしまう問題、思考が発散してしまいそうな問題、長々とした文章の問題」の中の「数量の多い問題」に該当しそうです。
 さらにその中の対処法を見ますと、「小さな数字や量で単純化、シンプル化してやってみる」がヒットしそうなので、この方法で考えてみることにします。

  そこには解法のキーとなる数字として、70cm 四方の的と50発の弾、そして15cm の間隔という3つがあります。そこでこれまでの例のように、その数を小さくしてみることを考えてみます。
 しかしすぐに、それぞれ単独に数を小さくしていってもダメだということがわかります。要件を満たすことが、かえって難しくなったり、逆に、簡単になってしまうからです。もちろん、3つの数を同時に小さくしても、相対的に小さくなるだけで、何の変化や意味もないこともわかります。

 そこでこの対処法がダメなら・・・ということで一息入れ、これまでもよくやっていたように、もう一度、問題文を注意深く読んでみるわけです。  すると、読んだつもりが素通りしていたり、気にもとめていなかった事柄や言葉に気づくことになります。

 それは、王様のなにげなく言っている言葉です。
王様は名手の技術を高く評価しているだけでなく、さらっと「おまえは頭もよく」と、達人の頭脳にも言及している点です。
 つまり、技術はもちろんのこと、この問題は明晰な頭脳を働かせれば解けてくる、と暗にほのめかせている、
ということです。

 それでは頭をフルに働かせ、50発の弾が70cm 四方の中で、それぞれできるだけ散らばるように撃つにはどうすればいいか、単刀直入に考えることにします。
 そこで、まず最初に思い当たることは、弾1発当たり平均して占める領域はどれくらいの大きさになるのか、という計算ではないでしょうか。
 その計算は簡単で、70cm 四方の的の面積は70 x 70=4900cm² だから、これを50で割って98cm² と出ます。つまり一辺が cm の正方形です。

 しかしこれは、あくまでも計算上で出てくる弾1発当たり平均領域の大きさであって、目安です。
 たしかにこの領域を50個集めれば的の面積にはなりますが、的の形である正方形にはなりません。
 なぜなら50個という半端な数では、縦横同じ個数が必要な正方形を作れないからです。それでもこの1つの目安から、領域1個の中の一番遠い2点間の距離はどれくらいになるのかの目安はつかめます。

 この領域の中で、最も遠い点といえば、正方形の対角線上の両端です。
そしてこの対角線の長さが15cm 以上ならば、次のステップとして、具体的にどのようにして弾を撃ち込めばいいかを考えればいいわけですが、ではその領域である一辺が cm の正方形の対角線の長さは? となりますと、いかに頭のよい名手といえども、とっさには算出できないはずです。

 もちろんその場にたまたまパソコンや計算機があれば、それを利用して算出できると思いますが、常にあるとはかぎりません。
 それに設問の背景を考えれば、そんな文明の利器が使える時代ではなさそうです。
しかし地道に時間をかけて、同じ2つの数字を掛けることにより、98になるような数値求めていけば、なんらかの値は出せるでしょう。
 しかしそれがわかったとしても、依然としてこの50個の領域では正方形は作れないのですから、さらなる計算が待っているはずです。

 ここに至ってこんな思いが脳をかすめるのではないでしょうか。「王様はそんな計算を望んではいないのではないか」と。
 というのも、頭がいいという言葉を王様が使ったということは、もっと簡単に誰にでもわかるような方法で答えてほしいと望んでいるに違いない、と思われるからです。
 つまりこの背景を使って、当面接試験を出した出題者側も、スマートな解法を望んでいるはずだ、ということです。

 そこで、頭のいい名手が考えそうな解法を、以下のような形で進めてみることにします。
 目安として求めた一辺が cm の領域、実はこれがスマートな解法につながる大きなヒントを与えてくれるということです。
 この値は明らかに整数ではないことがわかりますが、しかしこれに近い整数なら、すぐにわかるということです。
 つまり2つの同じ数を掛けて98に近くなる数はといえば、10 x 10の100です。

 したがって、近似値として、この10cm で考えてみたらどうかということです。
 すると70cm 四方の的は、この10cm 四方の正方形を縦横7個、合計49個でぴったり作れることがわかります。
 しかしそれがわかったとしても、その先でどうなんだ、と思う人も多いかもしれません。でも、ここが大事なのです。

 49個のマス目と50発の弾。ここに至って、核心に入ってきたと気付いた方は、もう正解が間近です。
 そうです。それをこう考えると道が開けてくるのです。つまり「49個のマス目に50発の弾を撃ち込むには、いずれかのマス目に必ず弾を2発撃ち込まなければならない」と。
 すると、このマス目に撃ち込まれる2発の弾の距離が15cm 以上離れていれば、設問の要件を満たすようにできます。

 1辺10cm の正方形のマスの中で一番遠いところ、それは前述のように対角線の両端であり、その長さを計算すればいいことになります。
 そこで誰もが知っているピタゴラスの定理(直角三角形の斜辺の二乗は他の2辺の二乗の和になる)を使って、その長さは cm と出ます。
 さらに皆さんも「ひとよひとよの・・」という言葉で、学校時代に覚えたと思われる =1.414・・を使えば、対角線の長さはcm =約14.14cm と出るわけです。

 したがって、このマス目の中で一番遠い2点間の長さは15cm より短いため、その結果70cm 四方の的の全体で、少なくともどこかのマスには2発の弾を必ず15cm 以内に撃ち込まざるを得ないという結論に達するのです。
 こうしてして射撃の名手は王様に対して「どんなに射撃の名人といえども、それは計算上、不可能です」と答える、というものです。

 さて、皆さんもお気づきかもしれませんが、どんな設問でも、そこで使われている数値には必ず意味があるということです。
 この問題では、的がなぜ70cm 四方という数値なのか、弾がなぜ50発なのか、弾の距離がなぜ15cm 以上なのか、これでおわかりになると思います。

 70cm の正方形から作られる49という数値は、弾数の50という数値よりもたった1つ違いとなることから、前述の不可能という回答が簡単に導き出せること、さらにその49という数は、誰もがわかり易い10という整数値を使って出せること、さらにその対角線の長さは、誰もが知る の少数点数値を使って計算し易いことなどです。

 この設問の背景は、複雑な計算が必要にみえる問題を大局的な視点から見てアプローチしていく資質を持っているかどうか、それによってスマートな解法を見つけ出しスピーディな解答ができるかどうかを見ようとしているものです。

 それでは設問107の解答です。


正解 正解107  射撃の名手は「それは計算上、不可能です」と答えた。70cm 四方の的を10cm のマスで仕切ると、49個のマス目ができる。そこに50発の弾を撃ち込むとすると、少なくともどこかのマスの中に2発の弾を撃ち込まねばならないことになる。そのマスの中で一番直線距離が遠いところは対角線上の両端であり、その長さは cm =約14.14cm だから15cm よりも短く、したがってその2発の弾を15cm 以上離すことはできない。

 では、その出題背景を考えながら次の設問を考えてみてください。


問題 設問108  A君は3斤、B君は5斤のパンを持っていて、2人はこれから食べようとしています。そこへC君がやってきて、 「お腹がペコペコだ。金を払うのでパンを分けてほしい」と言いました。 そこで、3人で平等にパンを分けることにしました。 C君は金貨を8枚持っているので、A君とB君で分けてほしいのですが、 どうやったら平等に分配できるのかわかりません。 A君は、自分とB君で4枚ずつ分けるのが公平だと言います。 でもB君は納得がいきません。パンが8斤あるのだから、1斤で1枚分の硬貨に値すると思っているのです。 だからパンを5斤持っている自分が硬貨を5枚もらい、3斤持っているA君は3枚だと主張します。 この問題を公平に解決するには、どうすればいいでしょう?

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 ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。
 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


梶谷通稔 【執筆者】  梶谷通稔 - かじたに みちとし
岐阜県高山市出身 早稲田大学理工学部応用物理学科卒

元 :   米IBM ビジネス エグゼクティブ
現在: (株)ニュービジネスコンサルタント社長
    日本IBM  GBS 顧問
    東北芸術工科大学 大学院客員教授
    (株)アープ 最高顧問
 講演・セミナー・研修・各種会合に (スライド9125枚とビデオを使用)
 コンピューター分析が明かすリクエストの多い人気演題例
 (参加者層に応じてミックス可) (各1~2時間)
  ・ビジネスの「刑事コロンボ」版。270各社成功発展のきっかけ遡及解明
テレビ出演
  ・不況や国際競争力にも強い企業になるには。
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  ・成功する人・しない人を分けるもの、分けるとき。
  ・もったいない、あなたの脳はもっと活躍できる!
  ・こうすれば、あなたもその道の第一人者になれる!
  ・求められるリーダーや経営者の資質。
  ・栄枯盛衰はなぜ起こる。名家 会社 国家衰亡のきっかけ。
  ・人生1回きり。あなたが一層輝くために。
  ・どう変わる! インターネット社会


 出版:
  1988年  『企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  1989年   『続・企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  2009年   『成功者の地頭力・あなたはビルゲイツの試験に受かるか』 (日経BP社)

 連載:
  1989年 - 2009年   『徒然草』 (CSK/SEGAの全国株主誌)
  1996年 - 2003年   『すべてが師』 (日本IBMのホームページ)
  1995年 - 進行中   『あなたはビル・ゲイツの試験に受かるか』 (Web あーぷ社)

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