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その42 思考過程、プロセスが重要
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 ボートの速度と比べて鬼は円周率の3.14よりも大きいその4倍も速く走るということから、どんな方向にボートが逃げても必ず鬼に追いつかれてしまう、そんな思い込みの盲点を突いたのが前問でした。
 さて、今号は何を意図しての出題でしょうか。では、解説に入ります。


問題 設問42 ニューオリンズ地区を流れるミシシッピー川の1時間当たりの流水量はどれだけか。

ミシシッピー川   ミシシッピー川

 国土交通省のそれ専門に担当している人を除いて、自国の川の流水量でさえもわからないと思われる現状で、ましてやよその国の河川の問題なんか日本人に解けるはずがない、と思われるのが一般的な受け止め方だと思います。

ミシシッピー川

 しかし、もしもこの面接問題を受けるのが日本人であるとしたら、面接官はそのことを十分承知しているはずです。というのも、多くの外国人受験者にとって、これよりももっと掴みどころのない設問29「富士山を動かすのに、どれだけ時間がかかるでしょう」が、すでに出題されていることや、また、いきなり出題されたとしたらわけがわからないというような設問18「世界中にピアノの調律師は何人いるでしょう」などもあったことから、その辺のことをちゃんとわかった上での出題ということです。

 つまり、最初に設問を見て、正確な解答などわかるはずがない、という印象を受けるような問題には共通した内容と出題背景があるのです。
 代表的なものとしてはフェルミ問題などがあり、最終的に解として求めるのは数量なのですが、その数量そのものを問題としているわけではなく、どのようにして数量を導き出すか、その思考過程、プロセスを見ようとしている点
です。

 したがって、正確な数値を出すことだけに意識を傾けるのではなく、どのように問題を受け止め、どのようにして解決しようとしているのか、その問題解決への取組み方なりロジックをしっかりと示せばいいのです。
 ですからこの種の問題には、必然的に仮説、つまり前提条件が必要になるのですが、その仮説があまりにも突飛な数値などを使っているようだと、常識を疑われて、即そこではねられてしまいますから、この点だけは特に注意して前に進めばよいのです。
 逆に、その仮説をうまく利用して、なるほどそこまで考えているのか、というようなロジックを示せば、今度は面接官をうならせる材料にもなるということです。

巨大ハリケーン
ハリケーンの上陸

 では、設問の中身に入ってまいります。
 まず、仮説を立てるにあたって、ニューオリンズはアメリカ南部にあるジャズで有名な、そして2005年には巨大ハリケーンの上陸で甚大な水害を出した街、またミシシッピー川は合衆国の北端から南端へと縦断しているアメリカNo.1の大きな川、くらいは知っていてほしいというのが、最低限、面接官の期待するところでしょう。

 メキシコ湾からハリケーンの上陸であれだけ甚大な水害を出したということはニューオリンズの場所はミシシッピー川の河口近くにあるはずだということ、そして河口付近では長い道のりで運んできた堆積物が中州などを作っているはずで、ゆえに水深が浅く、そのため河川や海のわずかな水の増量でも短時間に水が溢れ出したのではないかということ、また簡単に水が溢れ出したということから、河川の容積上、川幅はそんなに巨大な大きさではないのではないかということ、しかしミシシッピー川は国土の大きさから言って日本にはないレベルの大きな川であるらしいこと、などをまずは頭に浮べていただければいいのではないかと思います。

ハリケーン襲来後のニューオリンズ。Aの地域の濃い藍色部分は浸水している
ハリケーン襲来後のニューオリンズ
Aの地域の濃い藍色部分は浸水している

 そこで流水量の出し方ですが、いくつかの方法が考えられます。まずすぐ思いつきそうなのが最もストレートな出し方で、水深と川幅と水の流れる速度を何らかの方法で推測し、それらを掛け合わせて解を出す方法、あるいはまた水深や川幅には関係なく、どれだけの水が上流から流れてくるか、流域面積の雨量から推定する方法などです。

 もちろん前者の方法も仮説という点からはその誤差が心配になりますが、後者の方法はもっと心配で、この方法だと支流の数やその大きさ、さらには流域ごとの年間平均降水量などの数値が必要なこと、また日本と違って広大な乾燥地帯も含め桁違いに長い距離を流れる過程で蒸発する水の量も相当なものになるはずで、それも十分考慮しなければならず、誤差としてぶれる要因が多すぎるということ、さらにまた実際にこの方法でやるとしたら、地域ごとの数値から細かな計算が必要となり、面接時間内に答を出すことなどはとうてい無理な話であるといった理由などにより、前者の方法でいくことにします。

B地域の拡大図:列車が吹き飛ばされている
B地域の拡大図:
列車が吹き飛ばされている

 前述のように、このような設問はきっちりとした正確な値を求めているわけではありませんので、まずは前にも解説したような地理や河川の前提条件などを決めたプロセスを面接官に説明したらいいでしょう。
 そしてたとえ推定数値とはいえ皆目検討がつかないような場合でも、Aがわかれば次にBがわかってくる式のフェルミ推定に知恵をしぼり、そのとっかかりとして日本の河川をベースにした仮説をつくるのも1つの手です。



 さて、日本の大きな河川の川幅などにあまり縁がないという人でも、東海道線や地元の鉄道で海に近いところの鉄橋くらいは渡ったことがあると思います。そこで大きな川の河口に近い鉄橋の長さをおおよそ平均して1000mとしてみます。しかしここで注意しなければならないのは、あくまでも求めるものは流水量ですから、鉄橋の架かる土手から土手の幅が基準になるのではなく、常に水の流れている部分の幅でなければなりません。

鉄橋

 すると、ぐっと縮まって150mくらいでしょうか。そこで国土の大きさなども1つの要因として考慮し、これをアメリカ版に焼きなおしてみることにして、おおよそ15倍くらいとし、きりのいいところで2500mと推定します。
 次に深さですが、前述のように10m以上もの深さにはならないと思われ、また浅いといっても大河ですから1mということも考えられません。そこで中間点の5mくらいとして手を打ちます。

 あとは流速ですが、大河の河口近くでごうごうと流れている川などは誰も見たことがないように、大河になればなるほどゆったりと流れているのが普通ですから、その流速は人の歩く速度の時速4kmくらいとみればいいのではないでしょうか。
 したがって、ニューオリンズ近くを流れるミシシッピー川の1時間当たりの流水量は、2,500mx5mx4,000m=50,000,000m3と推定します。

 この設問の背景はあくまでも結果を算出するまでの思考過程・プロセスが理にかなっているかどうかを見ようとするもので、解答は各人各様になります。したがって正解は1つではなく、あくまでも次はそのサンプル解答です。


正解 正解42 サンプル解答
ハリケーンの上陸で甚大な水害を出したニューオリンズはミシシッピー川の河口近くにあるはずで、またミシシッピー川が大河であるといっても、河口付近では長い道のりで運んできた堆積物により水深は何十mもあるとは考えられず、現に水が簡単に溢れ出したということは浅いことを物語っている。同様に溢れ出る河川の容積上から考慮したら川幅もそんなにあってはならないと考えられる。しかし川の流れは河口付近ではゆったりしていることが普通である。
日本の大きな川の実質川幅を150mとすれば、国土面積の違いなどを考慮してミシシッピー川はその15倍くらいと推定し約2.5km、水深が浅いといっても1mということはありえなく5mほど、また流速は人の歩くスピードくらいと踏んで時速4kmと推定。したがって答はこれらを掛け合わせた50,000,000m3になる。

 実際、ミシシッピー川のWikipedia(英語版)を見ますと、約30年前のデータですが、ニューオリンズの少し上流にあるBaton Rouge地区での平均流水量が12,743m3/sと出ています。これを毎時に直すと、45,874,800m3/hとなり、下流にあるニューオリンズ付近の流水量としての50,000,000m3/hはそんなに悪い推定値ではないものと思われます。しかし、重要なのはあくまでも思考過程のプロセスです。

 それでは次の設問を考えてみてください。


問題 設問43 ある学校で、全生徒が自分のロッカーの前に立っている。このときすべてのロッカーの扉は閉まっている。最初の笛の合図で、生徒はすべてのロッカーを開けます。次の笛の合図で1つおきにロッカーを閉めます。ここで、2番、4番、6番・・と閉められます。さらに次の合図では、2つおきにトグります。トグるとは、開いていれば閉じ、閉じていれば開くという意味です。3番、6番、9番というふうにトグるわけです。第4の笛の合図で、ロッカーを3つおきにトグり、第5の合図で4つおきにトグります。以下同様です。話を簡単にするために、ここではロッカーは全部で100台だけとします。100回目の笛の合図では、100番のロッカーについている生徒だけが、自分のロッカーをトグります。この結果、何個のロッカーが開いているか。


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 ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。
 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


梶谷通稔 【執筆者】  梶谷通稔 - かじたに みちとし
岐阜県高山市出身 早稲田大学理工学部応用物理学科卒

元 :   米IBM ビジネス エグゼクティブ
現在: (株)ニュービジネスコンサルタント社長
    日本IBM  GBS 顧問
    東北芸術工科大学 大学院客員教授
    (株)アープ 最高顧問
 講演・セミナー・研修・各種会合に (スライド9125枚とビデオを使用)
 コンピューター分析が明かすリクエストの多い人気演題例
 (参加者層に応じてミックス可) (各1~2時間)
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  ・求められるリーダーや経営者の資質。
  ・栄枯盛衰はなぜ起こる。名家 会社 国家衰亡のきっかけ。
  ・人生1回きり。あなたが一層輝くために。
  ・どう変わる! インターネット社会


 出版:
  1988年  『企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  1989年   『続・企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  2009年   『成功者の地頭力・あなたはビルゲイツの試験に受かるか』 (日経BP社)

 連載:
  1989年 - 2009年   『徒然草』 (CSK/SEGAの全国株主誌)
  1996年 - 2003年   『すべてが師』 (日本IBMのホームページ)
  1995年 - 進行中   『あなたはビル・ゲイツの試験に受かるか』 (Web あーぷ社)

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