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その89

行き詰まったら、視点を変えてみる

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 方程式を使えばしごく簡単に解ける問題を、敢えて方程式を使わずに解いてみよ、という前問は、マイクロソフトで何回も出題されている問題でした。

 これは、日常自然に起こり得ることを方程式などを使わずに、そのままの形で解いていくのが一番の基本であるとの見方から出題されているもので、これこそ知識などを取り除いた本来の素頭で解きなさい、ということに通じる地頭力を試すよい例です。

 方程式で解ける問題は、論理的に詰めていけば必ず解に辿りつけることから、論理的な道順で問題を深く考えるクセを常日頃からつけておくことが大切だというメッセージです。
 こうしておけば、日常、突発的にどのような問題が起きても、それらの問題にいつでも対処できるようになっているということで、マイクロソフトはそういった人材を採ろうとしているわけです。
 これはマイクロソフト社に限らず、グローバル化している今日、日本の業界でも同様のことが言えるのではないでしょうか。

 では、今号の設問はどうでしょうか。

問題 設問89  2人の息子のどちらかに財産を譲ろうと、アラブ人の父は2人に向かってこう告げました。「隣の街まで、ラクダに乗って競争しなさい。街の門を遅くくぐったほうのラクダの持ち主に、私の財産を譲る」と。困惑しながら、兄弟はラクダに乗り、できるだけゆっくりと街に向かいました。そして街の近くまできても、最初に門をくぐりたくないので、2人ともうろうろしているばかりです。ちょうどその2人がいるところに、1人の賢者が通りかかりました。兄弟はこの賢者に事情を話し、何かよい知恵を授けてくれるよう頼みました。すると、賢者が何か言いました。その言葉を聞くやいなや、兄弟はラクダに飛び乗り、一目散に街の門を目指してラクダを飛ばしました。賢者は何と言ったのでしょうか。

ラクダと賢者

 ラクダと賢者の問題ということで、皆さんの中には直近に出題された設問87を思い出された方たちも多くおられたかもしれません。17頭のラクダを遺言どおりに分けるとすると、どうしてもラクダを断片にして傷つけなくてはならなくなり、題意にそぐわなくなってしまうわけです。
 今回の設問もまた設問87と同じく、その舞台がアラビアの話なので、アラビアンナイトの魔法のランプでも使って……などという構想が、やはりちらっと浮かんだ方たちもおられたかもしれません。

 この設問を改めて読み直しますと「隣の街までラクダに乗って競争する。しかし街の門を遅くくぐったほうが勝ち」ということです。
 ということは、ずっと門をくぐらなければいいわけですから、いわば二人のガマン比べになって、普通に考えれば永遠に決着がつかないことになるはずです。

町並みと門

 しかしどのような問題でも、必ずどこかにその手がかりや糸口、突破口があって、その着眼点を探ることで正解に至る必然性の道が開けたというこれまでの体験から、以前のその設問87を注意して見てみますと、問題文の中に違和感を感させるもの、つまり場違いな感を抱かせる数学者という言葉があり、そこから突破口が見つかりました。
 つまりその問題の裏には「数学的に考えれば解ける」というメッセージが、この数学者という言葉の中に示唆されていたわけです。

 では、当設問89の場合はどうでしょうか。設問87と比較してみますと、数学者は登場していませんので、数学的に解ける問題ではないことがわかります。がしかし、それに匹敵するものとして、賢者が登場していることがわかります。
 どうやら、数字を使ったり、数学的に考えたりしなくても、賢者だからこそ解ける問題のようです。

 そこで賢者とは、となるのですが、辞書などに載っている賢者の定義はといいますと「道理に通じたかしこい人」となっていて、これはいかにも人を小バカにしたような漢字をただ平仮名にしただけの定義で、それではかしこい人とはどういう人なのか?と、この定義をした学者?に質問したくなります。

 したがって、ここでは皆さんの頭で想像されているような「頭の回転が早く、物事を正しく判断して応用が利き、さらに機転が利く人」と考えて前に進みます。
 では、その賢者は何を考え、どのようにしてこの問題を解決したのでしょうか。設問には、この賢者が何かを言ったとあります。それでは解説に入ります。

ヒューゴの不思議な発明(ポスター)

 皆さんの中には、2011年に封切りされた映画「ヒューゴの不思議な発明」を見られた方も多いのではないかと思います。
 何? 何で映画? ラクダの問題から離れて、いきなりSFのような世界の話に入るとはどういうことか、との思いを持たれるかもしれませんが、理由はそこに身近な形で当設問を解くための一つの例があるからです。

 そこで映画を見なかった方はもちろん、見た方たちのためにも、当設問の解法に大いに関係する部分をのぞいてみることにします。
 おそらく映画を見られた方たちも、その場面で何かに気付いたりあるいは疑問に思ったりした人は、ほとんどおられなかったのではないでしょうか。

 この映画の映像を担当したのが、アカデミー視覚効果賞を2度も受賞したロブ・レガートという人です。彼は、実写と模型の映像が実写に関与していた人たちでさえ、それらが区別できないような技術で仕上げる人で、その映画の実績には、
タイタニック
 1995年 アポロ13
 1997年 タイタニック アカデミー視覚効果賞
 1998年 アルマゲドン
 2000年 キャスト・アウエイ
 2001年 ハリー・ポッターと賢者の石
 2004年 アビエイター
 2009年 アバター
 2011年 ヒューゴの不思議な発明 アカデミー視覚効果賞
などがあり、どれもよく知られているものばかりです。彼はこんなことを言っています。「私が手がける映像では、ファンタジーとリアリティの境界線を狙います。どちらに傾いてもダメです」と。

ハリーポッター、アバター

 では、その中で当設問の解法とこの映画「ヒューゴの不思議な発明」と密接な関係があるシーンを見ていただきます。それは義足をした俳優がバスター・キートン風のドタバタを演じ、汽車の扉の取っ手に彼の義足の金具が引っかかり、引きずられていくシーンで、ご覧のような順序で展開していきます。

 彼が言うには、
 「実際、汽車に引きずられるというのは、危険だし、セットでも不可能です。セットに目いっぱいの大きさの汽車を動かすのは無理なんです」と。

「ヒューゴの不思議な発明」ワンシーン

 では、どうやって彼はこの問題を解決したのか。そこで、彼の撮った撮影技法とは、
 「そこで僕はトリックを使いました。カメラと何かが一緒に動けば、その何かは止まっていて、それ以外のものが逆に動いて見えることになります。そこで、汽車は止めておいて、床だけを動かすことにしたんです。つまり撮影時には、実は汽車は動いていなくて、床が動いていたんです」というものでした。

 だからどうなんだ、この設問とどう関係するんだ、という声も聞かれるかもしれませんが、彼の取った考え方が当設問の解法を示すよい例の一つとしてここに取り上げたわけです。
 それは何か、彼は日常動いているものと静止しているものの視点を変えて、逆の世界を考えることによりその難題を解決したわけです。

 そうです、逆転の発想です。ここまでくればもうおわかりだと思いますが、この設問でこの逆転の発想を応用しますと、兄弟のラクダを入れ替えるということになります。
 そうすれば、今度は互いの所有しているラクダが相手の乗るラクダになりますから、自分の乗ったラクダが先に門をくぐれば、本来の自分が所有するラクダが遅れて門をくぐることになり、遺言にしたがって自分が財産を得ることができるわけです。
 だから、この賢者もこの逆転の発想で一言「それぞれのラクダを取り替えて競争しなさい」と言ったのです。

ラクダと賢者2

 この出題背景は、日常に目にしているものはどうしても固定観念として定着してしまうことが多いのですが、そんな中で固定観念に捕らわれることなく、脳をいつも柔軟に考える状態に保っているかどうか、またその延長として常に視点を変え新しい世界を見い出そうというパイオニア資質の持ち主かどうか、そのあたりを見ようとしているものです。

 それでは設問89の解答です。


正解 正解89  賢者は「お互いのラクダを交換しなさい」と言った。

 では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。


問題 設問90  鬼と善人が小さな無人島にいました。この島には井戸が7つあり、1番から7番まで番号がついています。どの井戸の水にも毒が入っています。ただし、井戸の水を飲んでも、その井戸よりも大きい番号の井戸の水を数分以内に飲めば助かります。たとえば、4番の井戸の水を飲んだら、5、6、7番のどれかの水を飲めば助かりますが、そうしないと死んでしまいます。7番の井戸だけは一番高いところにあるので、鬼は登って飲めますが善人は登れないので飲めません。ある日、鬼と善人が決闘をすることになりました。決闘の武器は井戸の水。それぞれがコップに入れて持参し、相手が指定したコップの水を飲むのです。ただし、コップの水がどの井戸のものかは、飲んでもわかりません。この決闘の後、善人は生き延び、鬼は死にました。鬼も善人も、合理的な考え方の持ち主です。善人はどんな戦略を用いて鬼を負かしたのでしょう。


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 ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。
 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


梶谷通稔 【執筆者】  梶谷通稔 - かじたに みちとし
岐阜県高山市出身 早稲田大学理工学部応用物理学科卒

元 :   米IBM ビジネス エグゼクティブ
現在: (株)ニュービジネスコンサルタント社長
    日本IBM  GBS 顧問
    東北芸術工科大学 大学院客員教授
    (株)アープ 最高顧問
 講演・セミナー・研修・各種会合に (スライド9125枚とビデオを使用)
 コンピューター分析が明かすリクエストの多い人気演題例
 (参加者層に応じてミックス可) (各1~2時間)
  ・ビジネスの「刑事コロンボ」版。270各社成功発展のきっかけ遡及解明
テレビ出演
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  ・栄枯盛衰はなぜ起こる。名家 会社 国家衰亡のきっかけ。
  ・人生1回きり。あなたが一層輝くために。
  ・どう変わる! インターネット社会


 出版:
  1988年  『企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  1989年   『続・企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  2009年   『成功者の地頭力・あなたはビルゲイツの試験に受かるか』 (日経BP社)

 連載:
  1989年 - 2009年   『徒然草』 (CSK/SEGAの全国株主誌)
  1996年 - 2003年   『すべてが師』 (日本IBMのホームページ)
  1995年 - 進行中   『あなたはビル・ゲイツの試験に受かるか』 (Web あーぷ社)

※この連載記事の著作権は、執筆者および株式会社アープに帰属しています。無断転載・コピーはおやめください。

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