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あなたはビルゲイツの試験に受かるか?
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その91

先入観にとらわれず視点を変えてみる。

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 与えられた事態の中で、設問の中の登場者たちが互いに相手がどう考えるのか、その相手の思惑を論理的に分析することにより解答を出すという問題は論理パズルの代表的なものの一つで、形を変え姿を変えてしばしば試験問題に取り上げられますが、前問の善人と鬼の問題もそうでした。
 相手はどう考えているのか、相手の思惑を分析することによって解いていくその典型的な解法としては、まず少人数から始め、それを入り子式に解いていく手法が一般的ですが、善人と鬼の問題ではすでに最初から2人だけという設定なので、従来の解法とはまた違った、相手の裏をかくことを考慮して解くというアプローチ方法でした。

 さて、今号の設問はどうでしょうか。

問題 設問91  地球よりも月で重くなるものは何か。

地球と月

 重力、これは物理の問題か、それとも・・・。
 たとえ物理の問題としても、いや物理の問題ならなおさらのこと、この設問に接した途端、「そんなバカな!」との印象を持たれる皆さんも多いのではないでしょうか。
 というのも、地球や月の重力といえば、まず思うことは引力のことであり、その引力は月よりも地球のほうが大きいことは誰もが知っていることなので、「そんなバカな!」となるわけです。

 しかし、普通に解けるような問題は試験問題には出ません。何かあるのです。でもこの設問は、これまで見てきた論理思考で解く問題とはちょっと違うようです。としたら、何かトリックがあって一休さんのトンチの世界で解くような問題なのか。
 しかし、たとえ論理思考によらぬ問題だとしても、当連載で見る試験問題にトンチやトリックめいた解答を求めるものは皆無でした。

 では、現実に設問に適うようなものが、ほんとうにあるのか。設問で問われているのは「重くなるもの」として、あくまでも「もの」としての物体のようですが、引力は物体同士がお互いに引き合う力ですから、同じ物質を地球と月の世界で比べた場合、引力の強い地球でのほうが必ず重くなるはずです。
 この物理の世界の真理は曲げようがなく、そんな物体などありえないとして、ここで行き詰ってしまうということです。

 さて、この行き詰ったところで再度メッセージです。そもそもパズル形式の面接試験が、最初にアメリカのIT業界で始まり、今や広くコンサルタント会社や調査会社、マスコミ、銀行、保険会社や航空会社、さらには軍にまで広がってきているのは、日々めまぐるしく世の中は変わっており、その変わる内容や頻度が以前とは比べものにならないくらい今日は激増してきているためです。

 つまり、実際のビジネスの現場ではすぐに解答がでないような場面、何が飛び出すか、何が起こるかわからないといった、学校では教わらなかった場面に遭遇することが日常茶飯事になってきており、未知の世界での問題解決力がどうしても不可欠となってきているという今日の背景があるからです。
 面接という緊張した中で制限時間内にパズルの難問を解いていくのはストレスがかかりますが、それは無理難題の多い仕事を納期内に完成しなければならないというビジネス界の現状そのものです。

 だからパズルを解いていく過程がまさにビジネス界におけるミニプロジェクトそのものであるという認識の上に立ち、したがってそこでの出題意図は、ミクロ思考かマクロ思考か、常日頃から注意深く物事を見ているかどうか、先入観にとらわれず視点や着眼点などを変えてあらゆる可能性を追求しようとする人間か、よく考え、また想定外のことにも細心の注意を払う注意力の持ち主か、どのような創造的発想をするか、また正解はなくともそれ相応の説得力がある回答が出来るか、解くスピードや直感を見るものから、どのように問題を解いていくかの論理的な思考過程を見ようというものまで、その項目は多岐にわたっていて、その上ねばり強い思考探求力や実行力、行動力までも見ようとしているということです。

 一方、パズルの解答で世の中に多く見られる単に「正解はこうです」といった、いきなり正解に飛ぶ解答形式では、正解に至るまでの考えを巡らして行く道筋がすっぽりと脱落してしまうことから、どうしても思考力を培うことができません。
 したがってその場かぎりの「思いつき」に頼ることしかできなくなって、明日、何が起こるかわからないという先行き不透明な今日では、いざというときの役に立ちません。
 そのためこの連載の解説で常に意図していることは、正解に至るまでの必然的な思考過程というものを丁寧に説いていくことで、皆さんの思考力の増強育成に少しでお役に立ち、「明日の日本の頭脳作り」に、どれだけでも貢献できれば
と思っているわけです。

地球から見える月と月から見える地球

 この機会にもう1つ。このような意図から、たとえビル・ゲイツが直接出した問題でなくとも、皆さんの思考力の増強育成に役立つと思われるパズル問題ならば、できるかぎりこの連載に取り上げて見ていただいております。
 当初、このような問題があったとき、その出所は?と欧米の友人や知人たちに問い合わせていたのですが、「パズルの作者をつきとめるのは、ジョークを考えた人を探し出すのと同じで不可能。パズルは繰り返し語り継がれるうちに、新しい枝葉をつけたり、不要な部分を除いたり進化していく。パズルはたいてい多くの人の手で磨きあげられていて、まったくもとのままの独自に作った自作のパズルはほとんど残っていないだろう。だいたい、おまえさんの主旨はどこにあるのか、出所を明記することが目的なのか、本来の意図とどっちが大事なんだ。本質をはずすな」と、お叱りを受けて納得したような経緯があります。もちろん、その解法や解説は、梶谷版として私独自の方法で見ていただいております。

 さて、前置きが少々長くなりましたが、なぜこの行き詰ったところで、敢えてこのようなメッセージをお伝えしたかと申しますと、出題者側が設問で回答者の何を見ようとしているのか、その項目を考えてみると、往々にしてその中にもヒントがあることがあるからです。
 どのような問題にも、どこかにそれを解く手がかりや糸口、突破口があって、その着眼点を探ることで正解に至る道があることを、これまでたびたびお伝えしてきましたが、その他に、行き詰ったらこの観点からの試みでヒントを探るのも有効だということをお伝えしたかったのです。

 では、この問題の場合はどうか。設問では「重くなるもの」が存在するとして、断定的な表現を使っています。しかし、通常の世界での物理現象ではもはや解けないようですから、したがってこの試みをしてみたらどうかということです。
 そこで前述の出題者側が見ようとしている項目を順にみていきますと、この場合、「先入観にとらわれず視点や着眼点などを変えてあらゆる可能性を追求する」を試してみる必要があるということです。

 先入観にとらわれず視点を変える・・・。ではどんな視点か。そこで、もしもそんな物体があるとしたら、地球と月という固体自身の違いから導き出される特別な現象として、月では特異な反応を示すようなものという視点はどうか、という考え方です。
 つまり、引力以外に地球と月で違うものという大きな観点から見ていき、その中で「重くなるもの」との関係を探っていったらどうか、ということです。

地球と月の表面

 地球と月で大きく違うものとしては、まずは海、大気、生命・・・などの有無が挙げられますが、ここで同じ秤を地球と月の地上表面に置き重さを量るということだけを念頭にして考えますと、はたと気付くことが出てくるのではないでしょうか。
 そうです。浮力です。浮力が重力に打ち勝つと物体は浮くわけですが、浮くという場合、その物体の重さは測定できないのです。

空に舞い上がる風船

 ここまできますと、もはやおおよその見当がつくのではないでしょうか。たとえば大気の中でどんどん空に舞い上がっていく風船を考えてみてください。それはヘリウムなどの大気よりも軽い気体が中に入っているからで、風船にかかる浮力のほうが、風船にかかる重力よりも大きく働くので、重さが記録できないわけです。

 一方、月面上では大気がないので重力だけが働きます。実際、月の重力は地球の1/6ですが、ヘリウムにしろ水素にしろ、たとえ1/6になるといえどもいくらかの重さが記録されることになります。
 したがって、地球の大気より軽い物質ならば、地球よりも月で重くなることになるわけです。そこでこの設問の解答としては「地球の大気より軽い物質」ということで充分だと思いますが、実際にどのような物質があるのかを考えてみます。

大気(窒素・酸素)

 地球の大気はおおよそ窒素が78%、酸素が21%で、これだけで99%ですから、この2つのガスの混合体と物質の重さとを比較すればわかります。重さの元となるのは各物質の質量の大きさになりますが、ここでは難しい説明は止めにして、それらを比較できる簡単な方法はといえば、重さの目安となる原子量が順番に列記してある元素の周期表をみればいいというわけです。すると水素が一番軽く、次にヘリウム・・・などがあることがわかります。もちろん地球圏内の大気圏外で測定するならば、すべての物質は地球でのほうが重くなるわけですが、必要なら試験官にこの測定のことを付け加えればいいでしょう。

元素の周期表

 ところで重力についてですが、ニュートンは万有引力という表現で、またアインシュタインは、当連載の設問71でも解説しましたように空間のゆがみで説明しました。
 これらは説明のためのモデル、つまりたとえ話ようなもので、重力の本質を表現しているものではなく、実際に重力という力の存在が証明されているわけではありません。
 今、人間がやっている測定や観測という方法では、現象を捉えているだけで、実体とか本質を捉えることができなく、その力の存在ついては究極のところでまだ議論が分かれています。しかし本文では、ニュートン力学を使っても何ら支障がないことから、万有引力で説明しました。

 本設問の出題背景は前述のように、先入観にとらわれず視点や着眼点などを変えてあらゆる可能性を追求する姿勢の持ち主かどうか、を見ようとしているものです。

 それでは設問91の解答です。


正解 正解91  地球の大気より軽い物質。

 では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。


問題 設問92  Aがスマホを操作しているとき、Bはスマホを操作していません。では、Bがスマホを操作しているとき、Aはスマホを操作していない、と断言できるか。


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 ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。
 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


梶谷通稔 【執筆者】  梶谷通稔 - かじたに みちとし
岐阜県高山市出身 早稲田大学理工学部応用物理学科卒

元 :   米IBM ビジネス エグゼクティブ
現在: (株)ニュービジネスコンサルタント社長
    日本IBM  GBS 顧問
    東北芸術工科大学 大学院客員教授
    (株)アープ 最高顧問
 講演・セミナー・研修・各種会合に (スライド9125枚とビデオを使用)
 コンピューター分析が明かすリクエストの多い人気演題例
 (参加者層に応じてミックス可) (各1~2時間)
  ・ビジネスの「刑事コロンボ」版。270各社成功発展のきっかけ遡及解明
テレビ出演
  ・不況や国際競争力にも強い企業になるには。
   その秘密が満載の中小企業の事例がいっぱい
  ・成功する人・しない人を分けるもの、分けるとき。
  ・もったいない、あなたの脳はもっと活躍できる!
  ・こうすれば、あなたもその道の第一人者になれる!
  ・求められるリーダーや経営者の資質。
  ・栄枯盛衰はなぜ起こる。名家 会社 国家衰亡のきっかけ。
  ・人生1回きり。あなたが一層輝くために。
  ・どう変わる! インターネット社会


 出版:
  1988年  『企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  1989年   『続・企業進化論』 (日刊工業新聞社刊) ベストセラー
  2009年   『成功者の地頭力・あなたはビルゲイツの試験に受かるか』 (日経BP社)

 連載:
  1989年 - 2009年   『徒然草』 (CSK/SEGAの全国株主誌)
  1996年 - 2003年   『すべてが師』 (日本IBMのホームページ)
  1995年 - 進行中   『あなたはビル・ゲイツの試験に受かるか』 (Web あーぷ社)

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