その106 |
少い数に着目する点にヒントあり |
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グーグル社が出した前回の試験問題はいかがでしたか。エンパイア・ステートビルのてっぺんの高さまで積み重ねられたコインといえば、膨大な量を想像してしまいがちですが、実際に102階建てのこのビルの高さに積み上げられた1セントコインの量を、一般の部屋にもってきて天井まで積み上げたとしても、たったの20cm四方のスペースほどしか取らないという現実を知りました。 普段の頭で想像することと現実との大きな違いに気づかされる問題でしたが、今日のビジネス界では、すぐに解答がでないような場面、学校では教わらなかったような場面に遭遇することが頻繁に起こり、未知・未経験の世界での問題解決能力、そしてそこでの新たな創造力、いわゆる自ら考える頭脳が必要不可欠で、これからは、ますます自分の力で考え、自分で問題を解決していく力、未来指向の「自ら考える頭脳」、いわゆる地頭力が要求されることから、前回のこの欄で朝日新聞に載った中央教育審議会の答申案記事をご紹介し、日本の大学入試も自ら課題を解決できる能力や思考力・判断力・表現力を見たり、選択方式だけでなく記述方式、論述方式へと大きく舵をきろうとしていることをお伝えしました。 アメリカでは、このような能力を見ようとする入社試験が30年前ころから始まり、今日では定番になっていることから、2005年、それらの問題とその解き方などを本連載にて掲載を始めました。 今回はこの機会に、海の向こうではすでにずっと以前から「自ら考える力をつける」授業を、低学年より行っているという事実、それがよくわかる記事をご紹介します。 米・英・仏の小中学校の教科書と試験(1980年11月26日付け朝日新聞) この間、“この言葉はどういう意昧ですか”って質問したら、“あ、そんなの試験に出ないから覚えなくていいよ”だって・・・。日本では、何かをやれといわれたら完璧にやる人は多い。でもどうしてやっているか知らないし、言われたことしかしない。母がよく話してたことだけど、私も本当だと思う。」 海の向こうの大学では、期中・期末試験などにおいて、自分の考えを書かないといけない課題が多いことや、それゆえ教科書やノートなどを持ち込んでもよい事実、そしてテレビでおなじみのハーバード大学・マイケル・サンデル教授による白熱教室の番組からもわかるように、自分の考えや考え方を問うような教育の仕方が地に着いているということです。 さて、学校教育のあり方ということで少々スペースを取ってしまいましたが、今号の設問はどうでしょうか。それでは解説に移ります。
執筆者紹介 執筆者 梶谷通稔 (かじたに みちとし)
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー) 出版
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