その26:筆記試験と面接試験の違い |
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ソフトウエア開発に非常に重要な論理学として、前号では選言の問題を見てもらいましたが、実際の面接ではその正解率はかなり低かったようです。 隠れているものや不確実なことに思いを巡らせるのをどうしても苦手とする人間、その格好な例として、心理学の教授が大学で行ったこんな調査結果を報告しています。 ところが、「では、合格したことがわかっている場合、参加するか、あるいは、不合格がわかっている場合、参加するかどうか」と、質問の内容を変えると、今度はまったく違った反応が返ってきたというわけです。 またこの心理学者は、これと似た現象が一般社会でも身近に起きていることとして、次のような例を挙げています。それは大統領選挙と株式市場の動きです。大統領選挙が近づくと、投資家の多くは選挙が終わるまで、金を出すかどうかの判断を延期するというのです。そのため、市場は停滞するのが常ですが、しかし一旦、選挙が終わるや否や、市場は大きく動きます。 時は1988年、大口投資家の大半は共和党のブッシュ(現大統領の父親)支持でした。ところが、このブッシュが当選した途端、相場は急落したのです。「部屋に入って相場急落の画面を見たときには、対立候補のデュカキスが勝ったのかと思った」という或る投資家の言動をニューヨーク・タイムスが紹介をしたことから、その発見をするのです。つまり、この発言はデユカキスが勝ったから、相場は下がったんだという業者の見方を明らかに反映しています。 論理パズルでは、欠落した情報は誰も与えてくれません。だから、「何か欠けた情報があることを前提に、ありうる筋書きを展開しなければならない。そうすれば、欠けた情報があっても明瞭な結果に到達するだろう」という心構えができていないと、なかなか論理パズルの突破口は見つからないということなのです。これからも、論理パズルの面接問題がしばしば出てきますので、このことをしっかり頭に入れておいてください。 さて、少々スペースを取ってしまいましたが、それでは今号の設問を見てみましょう。 |
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それでは解説です。 設問でアリの移動はあくまでも辺の上と言っている以上、面ではなく線上ですから、アリが衝突をしないで移動する方向は2通りしかないことがわかります。どのアリも三角形の辺上を時計回りに移動するか、あるいはどのアリも反時計回りに移動するか、そのいずれかでしかありません。さもなくば、かならずどこかでぶつからざるを得ません。 仮に三匹のアリに名前をつけて、A、B、Cとし、どれでもいいですがその中の一匹のアリを選びます。それをAとします。このAのアリが時計回りか反時計回りか、どちらに行くかを決めてしまうと、残ったアリBもCも衝突を避けるためには、Aと同じ方向に行かなければなりません。アリは無作為に方向を選びますから、第二のアリBがAと同じ方向に移動する確率は2分の1、第三のアリCもAと同じ方向に移動する確率はやはり2分の1です。したがって、3匹のアリが衝突を避けられる確率は 1/2 x 1/2 で1/4 、つまり25%になります。 なんだかいやに簡単だ、と思う方もおられるかもしれませんが、実は、出題の原文は ここで設問26とこの原文の違いを見ますと、「同じ速さで移動」と「途中で向きを変えることはしません」の2ヵ所で、私が敢えてこの部分を設問26に加えたものです。と言いますのも、皆さんには面接という状況の中でこの設問を解いてもらっているわけではなく、面接官に対しての質問や疑問を呈する機会が得られない紙面上で紹介しているという理由からです。 では、解答です。 |
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では、次の設問を考えてみてください。 |
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さて、永遠にぶつからないアリの問題が出てきたところで、思い出したことがあります。知っている人もいると思いますが、この機会にご紹介しておきます。 設問20の「視点を変えて見ることの重要性」のところで、マウリッツ・エッシャーの作品を一つ見てもらいましたが、右の絵もその作品の一つです。 しかしこれには貼り合わせが必要で、両端部分の継ぎ目となる境界線がその面上に残ってしまいます。三次元の世界ではクラインの瓶というのが有名ですが、自然界には継ぎ目のない傑作があります。血管を出し、またその血管が自分の中に入り込んでいる心臓がそれで、そこにはこの貼り合わせているような継ぎ目の境界線がありません。 この偉業ともいえる作品を自然はいとも簡単に作り出していることに畏敬の念を禁じ得ませんが、科学の力と人間の知恵はさらに素晴らしいもので、今日ではトポロジーという数学理論・位相幾何学を応用した光造形システム装置によって、そこには継ぎ目などのない、ビニール様の材料から成る、形も柔らかさも心臓とそっくりそのままのものが作れるまでになっています。血液を流す動力源の問題さえ解決すれば、生の心臓として完全に体内に埋め込まれる日も遠くはないのではないかと思われます。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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