その42 思考過程、プロセスが重要 |
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ボートの速度と比べて鬼は円周率の3.14よりも大きいその4倍も速く走るということから、どんな方向にボートが逃げても必ず鬼に追いつかれてしまう、そんな思い込みの盲点を突いたのが前問でした。 |
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国土交通省のそれ専門に担当している人を除いて、自国の川の流水量でさえもわからないと思われる現状で、ましてやよその国の河川の問題なんか日本人に解けるはずがない、と思われるのが一般的な受け止め方だと思います。 しかし、もしもこの面接問題を受けるのが日本人であるとしたら、面接官はそのことを十分承知しているはずです。というのも、多くの外国人受験者にとって、これよりももっと掴みどころのない設問29「富士山を動かすのに、どれだけ時間がかかるでしょう」が、すでに出題されていることや、また、いきなり出題されたとしたらわけがわからないというような設問18「世界中にピアノの調律師は何人いるでしょう」などもあったことから、その辺のことをちゃんとわかった上での出題ということです。 つまり、最初に設問を見て、正確な解答などわかるはずがない、という印象を受けるような問題には共通した内容と出題背景があるのです。 したがって、正確な数値を出すことだけに意識を傾けるのではなく、どのように問題を受け止め、どのようにして解決しようとしているのか、その問題解決への取組み方なりロジックをしっかりと示せばいいのです。 では、設問の中身に入ってまいります。 メキシコ湾からハリケーンの上陸であれだけ甚大な水害を出したということはニューオリンズの場所はミシシッピー川の河口近くにあるはずだということ、そして河口付近では長い道のりで運んできた堆積物が中州などを作っているはずで、ゆえに水深が浅く、そのため河川や海のわずかな水の増量でも短時間に水が溢れ出したのではないかということ、また簡単に水が溢れ出したということから、河川の容積上、川幅はそんなに巨大な大きさではないのではないかということ、しかしミシシッピー川は国土の大きさから言って日本にはないレベルの大きな川であるらしいこと、などをまずは頭に浮べていただければいいのではないかと思います。
そこで流水量の出し方ですが、いくつかの方法が考えられます。まずすぐ思いつきそうなのが最もストレートな出し方で、水深と川幅と水の流れる速度を何らかの方法で推測し、それらを掛け合わせて解を出す方法、あるいはまた水深や川幅には関係なく、どれだけの水が上流から流れてくるか、流域面積の雨量から推定する方法などです。 もちろん前者の方法も仮説という点からはその誤差が心配になりますが、後者の方法はもっと心配で、この方法だと支流の数やその大きさ、さらには流域ごとの年間平均降水量などの数値が必要なこと、また日本と違って広大な乾燥地帯も含め桁違いに長い距離を流れる過程で蒸発する水の量も相当なものになるはずで、それも十分考慮しなければならず、誤差としてぶれる要因が多すぎるということ、さらにまた実際にこの方法でやるとしたら、地域ごとの数値から細かな計算が必要となり、面接時間内に答を出すことなどはとうてい無理な話であるといった理由などにより、前者の方法でいくことにします。
前述のように、このような設問はきっちりとした正確な値を求めているわけではありませんので、まずは前にも解説したような地理や河川の前提条件などを決めたプロセスを面接官に説明したらいいでしょう。 さて、日本の大きな河川の川幅などにあまり縁がないという人でも、東海道線や地元の鉄道で海に近いところの鉄橋くらいは渡ったことがあると思います。そこで大きな川の河口に近い鉄橋の長さをおおよそ平均して1000mとしてみます。しかしここで注意しなければならないのは、あくまでも求めるものは流水量ですから、鉄橋の架かる土手から土手の幅が基準になるのではなく、常に水の流れている部分の幅でなければなりません。 すると、ぐっと縮まって150mくらいでしょうか。そこで国土の大きさなども1つの要因として考慮し、これをアメリカ版に焼きなおしてみることにして、おおよそ15倍くらいとし、きりのいいところで2500mと推定します。 あとは流速ですが、大河の河口近くでごうごうと流れている川などは誰も見たことがないように、大河になればなるほどゆったりと流れているのが普通ですから、その流速は人の歩く速度の時速4kmくらいとみればいいのではないでしょうか。 この設問の背景はあくまでも結果を算出するまでの思考過程・プロセスが理にかなっているかどうかを見ようとするもので、解答は各人各様になります。したがって正解は1つではなく、あくまでも次はそのサンプル解答です。 |
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実際、ミシシッピー川のWikipedia(英語版)を見ますと、約30年前のデータですが、ニューオリンズの少し上流にあるBaton Rouge地区での平均流水量が12,743m3/sと出ています。これを毎時に直すと、45,874,800m3/hとなり、下流にあるニューオリンズ付近の流水量としての50,000,000m3/hはそんなに悪い推定値ではないものと思われます。しかし、重要なのはあくまでも思考過程のプロセスです。 それでは次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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