その73 |
設問の中に解答あり |
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一定速度の出力で飛ぶ飛行機が、一定速度で吹く偏西風の中を往復する場合を考えれば、普通は往きと帰りで飛行機の速度が相殺されて・・・と思いがちですが、実際に具体的な数値を入れてやってみれば、見事に違うことがよくわかる問題、それが前問でした。 それでは次の設問に移ります。
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48枚もあるカードをもとに、そのカードを出したり戻したり、新たに加えたりと、説明文にもありますように延々と続く作業という印象を真っ先に受けて、途端に気後れしてしまうような問題かもしれません。 しかし、これまでこの連載を数多く見てこられた皆さんと、まったく初めての方たちとでは大いに違うところがあります。それが何かと言いますと、これまでの各解説で詳しくご説明しているとおり、皆さんは数多くの設問を通して、そこにある共通の手がかりや糸口、あるいはその突破口への道に訓練されているということです。 72個の設問をこなしてきたこの機会に、その典型的な問題分野と、その手がかりや糸口、あるいはその突破口となる対処法を、具体的な設問とともに列記し、以下まとめてみます。 ◇複雑に見える問題、数量が多い問題、読んだだけで気後れしてしまう問題、思考が発散してしまいそうな問題、長々とした文章の問題など。
◇易しすぎに思える問題。すぐに解けそうな問題。
◇直感や感覚的な見方がまず先にくる問題。
◇スピード回答力を見る問題。
◇記号で出されている問題。
◇荒唐無稽とも思える問題や漠然とした問題。あるいはアイデアを求める問題。
◇イメージや図形の問題。
◇普段の注意力が試される問題。
◇数学や物理に関係する問題。
上記項目の中を多岐に渡って関係している設問もありますが、これらすべての内容を念頭にして、改めて当設問73を見た場合、いかがでしょうか。皆さんはこれらの中で、どれに該当すると思いますか。 ではこの範疇の中で、上記のどの項目が該当すると思いますか。多分、小さな数字や量で単純化、シンプル化してやってみる、を挙げられる方たちも多いと思います。しかしこの設問の場合、それでやると混乱するか間違えてしまう可能性があります。 つまり、最後に1枚残る一歩手前の最少枚数2枚のカードが箱にある場合を考えて、その2枚が赤色カードだったら2枚取り出したあと戻しがないので、結果何も残らない。その2枚が白色カードだったら、また新たな白色カード2枚を箱に入れるから永遠に終わらない。その2枚が赤白互いに違う色だったら、赤色を戻すから残るのは赤色カードだが、果たして一歩手前のカード2枚がこれらのどれになるか、これだけではわからない。 では、他に目ぼしい項目があるのか、ということですが、実はこの設問の場合、設問の中に、解答そのものやヒントがないかを見るが、一番スマートな方法で正解できるやり方なのです。つまり、設問に述べられている「箱の中のカードが残りの1枚になるまで、この作業を延々と続けるとします。では、最後に残るカードは何色でしょうか」のところで、残りが1枚になると言っている点です。 なぜ、その点なのか。まず、箱の中からカードを取り出して、減らしていく前提が述べられていていますが、その減らし方とこの残りが1枚になるというポイントに注視すれば、残りのカードは赤色だとすぐに出てくることになるのです。 この出題背景は、いかに早くスマートな論理思考ができるかということですが、多くの設問を体験していくことにより、前述のそれぞれの設問に対する対処法が身に着いていくものと思います。 それでは解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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