その87 |
設問の中にある「特別な言葉」が糸口になる |
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1日24時間のうちで、長針と短針が重なる回数は?時計の長針と短針は、1日に何回90度をつくるか?といった時計の問題はしばしば直感がわざわいして間違いやすいため、よく試験問題で出されます。 設問82や前問はそれに類する問題でしたが、簡単ですぐに解けそうな問題には、特に注意深く取り組むことが必要で、日頃の訓練が大切です。 それでは、今号の設問はいかがでしょうか。
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どの息子たちの配分にしても遺言どおりに分けるとすると、ラクダを断片にしないかぎり、17頭を半分にも、あるいは1/3にも、1/9にもできません。ラクダを傷つけることなく、3人の息子たちが不満に思うこともなく分ける、そんな方法などがあるのか。 これまで見てきた当連載の思考を要する問題には、必ずどこかにその手がかりや糸口、突破口があって、その着眼点を探ることで正解に至る必然性の道が開けました。 ラクダを17頭も持っているということは、どう考えてもこの父親はラクダの遊牧主かキャラバンの隊長的な存在です。ですからその家族である息子たちも父親の世界とあまり変わらない環境で育ってきているはずです。 さらにそれに付随して、「ラクダに乗って1人旅をしている」という表現にも何かあると気が付いた方は、またその先一歩近づいたことになります。 まず「数学者」という言葉から、この問題を数学の専門家の目で見れば、数学的に解けますよ、ということを意図的に示唆している点、それが手がかりということです。 ですから、もともとその遺言は余りが出るような数だったわけで、17頭を過不足なくぴったりと分けられるような数ではなかったということです。 まず、ラクダを傷つけることなくするためには、3人の分け前である1/2、1/3、1/9でラクダの頭数が割り切れなければならないと考えるわけです。これが糸口となって、そこから道が開けてくるということです。 つまり息子たちのラクダ以外に、もう1頭いれば割り切れるということです。 その結果、半分の長男は9頭、1/3の次男は6頭、1/9の三男は2頭で合計17頭となって、遺言通りに分けることができ、また一方、自分の1頭も息子たちにあげるわけではなく、ちゃんとそのまま自分のラクダとして返ってきます。 そこで不思議に思う人があるかもしれません。おじいさんのラクダ1頭を加えて計算し、3人の取り分として組み込まれているはずなのに、分けたあとでそれがまた、なぜそっくりそのまま1頭のラクダとしておじいさんに返ってくるのかと。 つまり余り分として、3人はそれぞれ1/2頭分、1/3頭分、1/9頭分を取れば、過不足なくすっきりと分けられるということなのです。 しかし厳密に言えば、この方法は父親の遺言を忠実には反映していません。というのも、実際3人は、余りの取り分だけ遺言よりも多くもらっているからです。 これで設問文に違和感を感じる数学者が出てきた背景もおわかりだと思います。彼は分数や小数点以下の数値で分けることなく、1頭ずつもらえるように余った17/18頭分を数学的に分けただけという結果なのです。 この設問の解答として、長男は9頭、次男は6頭、三男は2頭と答えれば正解なのですが、これだけでは面接官としてまだ不満が残るはずで、余りの取り分にたいして、前述のような説明をすれば万全の合格となるはずです。 この設問の背景は、設問文を注意深く読んで、数学者という言葉に注視できたかどうか、またさらに遺言通りに分けるとすると余りが出ることに早くから気づき、ラクダを傷つけることなく分けるためには、最小公倍数の頭数がヒントをくれるとの考えに至ったかどうか、さらには余りを使えば解決できるとの数学的な考えに至ったかどうか、そのへんの資質と能力を見ようとしているものです。 それでは設問87の解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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