その11:そこに落とし穴が、、、 |
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問題は、バケツの容量である3と5の足し算や引き算によって「4という解」を求めよ、と言っているわけですが、これを分かり易くするために、数式にして考えてみます。 設問では「水はいくらでも使えるものとして」とありますので、3や5は何回使ってもいいことになりますから、まず3+3+3+3+3+3+3+3−5−5−5−5=4などを思いつきます。でも、それぞれの容器は最終的に1個しかありませんから、このような方法には限度があります。 ではどうするか。バケツという現実を離れて視点を変えてみます。目的である4に焦点を置いて、3あるいは5から4を作るには、と数字だけを考えてみるのです。これは、数学というよりも算数の問題で、小学生でもすぐにその式を答えられます。3+1=4あるいは5−1=4というシンプルな2つの式です。 ここでよ〜く考えれば、もしもここに出てくる1を何らかの方法で作り出すことができたら、これらの式を使って4という解答が簡単に得られるということです。しかもこれによって解答は2つ出てきそうだということもわかります。 |
では+1を作るにはどうするか。3と5を最少回使うならば3+3−5=+1です。この式の意味していることは、3のバケツに水を2回汲んで5のバケツに注げば、3のバケツに1の水が残るということです。これで1の水が作り出せましたから、前述の式3+1=4にしたがって手順を踏んでいけばいいだけです。 つまりこの3容器にできた1を、空にした5容器に注ぐ。さらにもう一度3容器をいっぱいにして、すでに1の水が入っている5容器に注げば、合計4の水ができます。 |
この解答は、2つの式3+1=4と5−1=4のうち、前者を使いましたが、ここで重要なのは、前者の+1は実際の1であり、後者の−1とは何か、それは空き部分の1、つまりマイナス符号を「空き」と考えてみることです。 |
さて、落とし穴とは何か。面倒な式など使わなくても、ちゃんと解けたという方も多いと思いますが、落とし穴とは、ピカピカの解答が2つあるということです。頭の中で解いた方は、おそらくは1つだったのではないでしょうか。 |
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では、出題背景を考えながら次のビル・ゲイツの設問を解いてください。 |
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これはこれまでの問題と違い、今日のコンピューターが成り立っている二進法と関連するれっきとしたコンピューター原理を学ばせるような問題で、いかにもビル・ゲイツの考えそうな設問です。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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