その12:コンピューターの原理とその応用 |
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前回のバケツの問題は、ただやみくもに頭の中で水の出し入れを繰り返し考えて解いていくやり方よりも、「式」を使えば着実に正しい解へと至ることができるというロジックを学びましたが、今度の設問は応募者の何を見ようとしているのでしょうか。 |
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この設問はこれまでのものと違って、今日のコンピューターが成り立っている二進法と関連し、あくまでもコンピューターの根本原理がわかっているかどうかを問うようなストレートな設問です。このマイナス二進法なるものが、虚数のような形で理論物理学や数学の世界で役に立つかどうかは別として、ただ現実にはありそうもないマイナスの二進法を考えさせるところなどが、いかにもビル・ゲイツらしい出題と言えます。 さて、ビットという言葉に代表される1と0というオン・オフ2つの信号だけを使って行う二進法の応用はコンピューターが誕生する原点であり、そこでは計算はもちろんのこと、文字も画像も音声もすべてこのビット単位を元にして処理されています。 今日では、このオン・オフの信号処理がデジタルという言葉とともに、CDやDVDなどの音響映像機器やカメラをはじめ、放送や通信などあらゆる分野に入り込み、今や日常生活に溶け込んでいることはご存知のとおりです。 ではまず本題に入る前に、十進法と二進法の簡単なおさらいをしておきます。
たまたま我々人間の指が10本であったがために、日常、十進法によって数を表しているだけで、このように考えれば三進法、四進法・・と、いずれ正数をもってしてもすべての数を表現できることがわかります。 では本論に入ります。 はたしてそんなことが可能か。そこで、この(1)、(-2)、(4)、(-8)、(16)、(-32)・・の数をじっと見ていますと、十進法の1、2、3・・を作っていけそうです。 しかしこのあと13までは数えられますが、14となるとお手上げです。この設問の背景は、コンピューターの計算原理である二進法の中身を応募者がどこまでしっかりと理解できているかを見ようとしているもので、そのことはこの設問で10まででも表記して数えられるならば充分わかるということなのです。ただし前提条件も忘れないように。 |
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ではまた、その出題の背景を考えながら次の問題を解いてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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