その111 |
手がかりは「矛盾」に気づくこと |
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25頭の馬の中から、速い順に3頭の馬を見分ける前問では、選ぶという観点から解くのではなく、ダメな馬を取り除いていくという発想、それを糸口にして解き進めることにより、短時間にすっきりした形での解答を得ることができました。 面接試験に出されるような問題には、このように真正面から見るのではなく、裏から見る発想、それが功を奏することも頻繁にありますので、このような見方を常に身につけておかれることをお薦めします。 さて、今号の設問はどうでしょうか。やはり裏から見る発想が手がかりになります。 |
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「153人もの人数がいれば、中には同じ回数の握手をした人は、一組くらいいるのではないだろうか、しかし自信を持って必ずいると言いきれるかと問われれば、その確認の仕方までも含めて、答に窮してしまう。」というのが、ごく一般的な反応かもしれません。 握手の問題は手を変え品を変え、いろんな形でよく出題されますが、これはアメリカの大手コンサルタント会社における面接試験の問題です。 例えば、類似の問題として |
しかしこの友達の問題を初めて見る方たちの中には、「それはおかしい。もしも40人の新入生に対する最初のクラス編成の時を考えれば、最初から友達なんていないのが普通で、そもそも友達の人数を云々する問題としては成り立たないのではないか」と、疑問に思われる人もいるかもしれません。 |
また次の問題、 |
というのも、一見、風変わりで分野の違う問題のように見えますが、これも類似の同じ部類に属する問題です。 では、本問の解説に入ります。 |
あるいは153という数そのものに意味があるのか、152や154ではダメなのか、またキリのいい150や160あるいは140では意味がないのかなどと、さらに疑問を重ねていった方もおられたかもしれません。 そこでいろんな問題の糸口、手がかり、突破口を探すためにまとめた当連載その73にある対処法を見てみますと、その中で、この設問111に適用できそうなのは「数量が多い問題は小さな数字や量で単純化、シンプル化してやってみる」か、あるいは「長々とした文章の問題などは、隠れているもの、裏にあるものを考えてみる」があります。 |
実は、この種の問題で見られる世の中の解法は、すべて「鳩ノ巣」原理で解いています。10羽の鳩を9個の巣箱に割り振ろうとすると、どうしても2羽以上が入る巣箱が出てくる、というしごく単純な原理です。 では、この問題を裏から見るとはどういうことか。 そこで、「同じ数の握手をした人は1人もいない」、つまり「全員の握手の回数が違う」とすると、どうなるかを見るわけです。 すると矛盾が出てくるのです。152回の人は全員と握手をしているのに、握手をしていない0回の人も、その中にいるという矛盾です。 そして152番目のボックスに入る人の番になったとき、どうなるか。
では、この「鳩の巣」原理を使わない場合はどうか。 握手の問題ですから、1人ではなく2人の場合を見てみます。 |
起こり得る握手の回数は図1のように0回か、1回ですが、ここで握手という特殊な背景があるということに気づくことになり、この気づきが正解へと導くわけです。 つまり握手というのは、常にペアで成立するという点です。握手が0回でも1回でも、ペアですからいずれの場合も必ず2人いるということです。 |
ここに至ってこのような問題では、特定の人数とはまったく無関係だということがわかると思います。10人でも60人でも200人でも、同じなのです。 |
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では、前述の「頭髪の本数がまったく同じ人」の問題はどうか。 |
つまり問題の中に出ている人口の20万人とこの原理を結びつけて考えれば、頭髪の一番多い人でも20万本以下ということを前提にした問題ではないかと予見でき、この原理を使えるからです。 |
対象として自分の頭髪によるフェルミ推定はどうでしょうか。 したがって、どんなに頭髪の密度が濃い人でも、あるいは頭皮の広い人でも、この7割増しともなる20万本の人は、もはやいないと考えられるのです。 |
実際、頭髪数に関する資料を調べてみますと、黒髪の場合はせいぜい10万本、ブロンドの場合は15万本ほどと出ています。 |
さらにスキンヘッドの人ももちろんたくさんいると思いますが、大部分の人たちは、おそらく10万本から15万本のあたりに集中しているはずで、この本数近辺のボックスには、2人以上入る組が何組も出てくると予想されるわけです。 |
余談になりますが、人間の髪の毛は母親の体内にいるときにはすでに生えていて、その段階で各人の髪の毛の本数は決まっており、以降それ以上増えることはないそうです。 この設問は鳩の巣原理を応用できるような頭脳の持ち主かどうか、また鳩の巣原理の応用をしないとしたら、出題者側を納得させることのできるような他の説明ができるかどうか、その論理思考過程などを見ようとしているものです。 それでは設問111の解答です。 |
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では、次の問題の出題背景を考えながらやってみてください。これはヒューレット・パッカード社が新卒採用面接で出した試験問題です。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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