その62 最終図をイメージしてみる |
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小学算数で教わる植木算のような問題は、一見、単純そうに見えますが、それなりに注意してとりかからないと間違いやすく、面接試験などのスピード解答が要求されるような場面では特に注意が必要で、そこに日常における注意力や洞察力、あるいは冷静な観察力や思慮深さが要求されるわけです。その1つの例として前問を見ていただきました。 では、今号の問題はどんなポイントを見ようとしているのでしょうか。
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近代的な測量機器がそろっている今日では、何の問題もなく解決できる設問ですが、ピラミッド建設当時のエジプトでは、ナイル川氾濫による農地境界線の消失で、毎年、新しく区分けのための線引きが必要だったことから、当時、縄に等間隔の印を12ヵ所付けて、3辺の長さが3対4対5となる三角形でもって直角を作っていたという、すでにピタゴラスの定理を使っていたようですが、縄だけを使う当設問も論理思考および知恵を絞って解かねばならない問題のようです。 まずは設問のような、ひどくいびつで凸凹になっている境界線の図を見て、原始的な縄だけを使い、両者を同じ面積にするようなすっきりとした境界線など、そんな線を引く方法があるのか、そんなことができるはずがないなどと戸惑った皆さんも多かったかもしれません。しかし、ここでビル・ゲイツの言う「よ〜く考えよ」ということです。
設問にあるそのすっきりとした線とはどんな線か、与えられた道具のなかで線を補助するものとすれば縄しかありません。ということは縄だけで曲線をひくことはできませんから、図2のようなおそらく1本の真っ直ぐな直線ということが予想されます。しかし測量機器がない以上、はたして同じ面積にするような方法があるのか疑問です。 そこで皆さんの中には、四角ばった折れ線での解決策を考えた方もおられるかもしれません、がしかし、この場合でも結果として境界線が凸凹になるという観点からは現状とさして変りなく、すっきりとした線ではないことはもちろん、やはり縄とハサミと杭だけでどうやって同じ面積にするのかがネックになります。
そこで図1と図2をじっくりと見比べてみますと、或る事に気付くはずです。もちろん単に頂点が無いということならば誰でもわかりますが、その或る事とは今まで多くあった頂点はどこへ行ったのだろうという疑問で、実はこの発想が重要だということなのです。 このように解説しますと、それが突破口とどんな関係があるのか、まったくよくわからない、と思われる方もおられるかもしれませんが、この連載シリーズでは正解への糸口、突破口、手がかりを示すだけでなく、必然的に正解に至るまでの過程においてその必然性を示すことにも意を注いでいます。
したがって、どのように頂点を移動しても同じ面積が保てるということ、そして問題の凸凹の境界線は多くの三角形に分解できるということに気が付けば、 あとは小学校で学んだことを実行するだけということになるわけです。
めでたし、めでたし・・・とここで終わりにしたいところですが、これだけでは合格点はもらえません。 まず縄を使って一番簡単に直角を作る方法は、図10のように垂線から求める、下記順による方法です。
さて、長方形の作り方がわかったら、今度は実際に田んぼの図形に戻り、次のような順で平行線を求め、図5から最終図9のように展開していけば完了です。
この方法でいけば、どんなに多くの頂点があっても解けることがわかります。また、あまり現実にはないと思われますが、もしも当初の境界線に曲線が入っていたらどうするか、その場合は時間がかかるものの曲線部分を細かく分解して、たくさんの三角形に置き換えていけば、あとは同様の方法で解けばよいということです。 当設問の背景は、現実の生活の中で起こり得る問題として、先端技術の道具などがその場に無い場合でも、最終図をイメージし、小学校で学んだ知識をいかに生かし知恵を絞ることができるかどうか、そこのところを見ようとしていることがありそうです。 それでは、正解です。 |
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それでは次の問題をやってみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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