その66 考えが分散しそうな問題は、設問を一度整理する |
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理髪店の軒数を出す前問はフェルミ推定の問題でしたが、すでに見ていただいた設問18のピアノ調律師の問題、および設問58のガソリン・スタンドの問題とともに、その推定の一番ベースとなるのが人口でした。 さて今号の設問はいかがでしょうか。それでは解説に入ります。
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カードがテーブルの上にあるといっても、目隠しのため自分の目でそれを見ることはできない上に、さらにそのカードが全部で何枚あるのかもわからない中で、しっかりとした枚数まで揃えなければならないという、まさに雲をつかむような問題で、考え方が分散してしまいそうです。 以下、テーブル上の白あるいは黒が表向きになっているカードを、それぞれ白カード、黒カードと呼んで話を進めますが、皆さんの中には設問を見てすぐに、白カードを15枚づつ、目隠しの状態でうまく2グループに分けるにはどうするかというようにこの問題を解釈し、その方法を考えようとされた方もおられたかもしれません。 しかしそうだとしたら、単刀直入にそのような問い方をするはずですし、その場合はもはや論理思考などを要するパズルという世界からは離れて、むしろ偶然かあるいは奇術の問題になってしまいます。 ではこの問題を解くにあたって、どこに着眼すればいいか。まずはこれまでもやったように、考え方が分散しそうで雲をつかむような問題は、その設問の中身を丁寧に整理してみることです。 なんだ、そんなことだったら問題そのものであり、改めて整理するまでもないではないか、とお思いになる方もおられるかもしれません。がしかし、このように分解してみて初めて気づく点が出てきて、それが往々にして手がかり、突破口になることがあるということです。この気づく点というのが着眼点になります。では、この気づく点とは何か。 それは「カードが全部で何枚あるのかわからない」という点です。これは何を意味しているのか。そうです、それはカードが何枚あってもかまわない、100枚でも1000枚でもかまわないということです。 では、2つに分けられるようにする一番少ない白カードの枚数といえば、白だけが2枚のケースです。言うまでもなくこの場合は、1枚ずつに分ければいいだけです。 3枚を2つに分けるのですから、一方が2枚で、もう一方が1枚の組合せになります。そのときに起こり得る白黒の組合せは図1の2通りしかありません。ここでケース1の組合せは確かに設問の答えになりますが、ケース2はどうしてもダメです。 正式な設問として出題されている以上、この一番少ない組合せの場合で突破できなければ、正解に辿り着くことはできない、何としても突破口を探る必要がある、との決意が解決へと導いてくれるのです。 そこでもう一度、図1のケース2をじっくり見てみます。何度見てもグループAには白が2枚、グループBには黒が1枚です。 実はここにヒントが隠されています。そうです。ひっくり返すというアイデアです。このケース2でグループBの黒カードを反転させると白になります。しかしこの場合、グループAの白カードは2枚ですから課題である枚数が合いません。 この反転がうまくいっているということは、とりもなおさず、反転する前のグループAにある黒カードの枚数とグループBにある白カードの枚数とが同じであるということです。 この反転でうまくいくケースとは、お手伝いさんから告げられた白カードの枚数分だけ、全部のカードから任意に選り分けて1つのグループにするということです。 さらにわかることは、最初に出ている白カードの枚数は30枚でなくても、どんな任意の数でもいいことや、お手伝いさんにその白カードの枚数を教えてもらったあと、カードに触って枚数を数えることが許されるのであれば、目隠しをしていてもあるいは暗箱を利用しても、自分1人でできます。 また着眼点として、これまでの例にならい数を少なくして分析を始めました。設問では白カードが出ているということと、さらに2つに分けたとき両グループには同じ枚数の白カードが含まれるということから、その出発点として白カードだけが2枚のケースから考えました。 実は、賢明な読者の方ならばすでにおわかりだと思いますが、白だけが2枚のほかに、白黒1枚づつの2枚のケースを考えても、前述3枚のときの反転論法が成り立ち、この段階で正解への解法に近づくことができます。 当設問の出題背景は、一見つかみどころがなく、考え方が発散しそうに思えるような問題でも、1つ1つ丁寧に解きほぐしていける論理思考の持ち主であるかどうか、また当初、正解があるのかどうか、皆目検討もつかないような未知の問題に遭遇しても、冷静であきらめずに粘り強くチャレンジしていける資質を持っている主かどうか、いわゆる応募者の地頭力の有無を見ようとしているものです。 それでは解答です。 |
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それでは次の設問にチャレンジしてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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