その76 |
ベースとなる考え方を常にしておく |
|
|||||||
パズルはパズルだけに終わらずに、日常生活の上でも役立つと思われるようなものが沢山ありますが、常日頃、注意深く考えたり観察したりしていれば、緊急のときにも役立つパズルも多くあります。 では、今号の問題はどうでしょうか。
|
この連載シリーズにおける愛読者の皆さんならば、当設問を見て、どこかで似たような設問があったことを、咄嗟に思い出された方たちもおられたことと思います。 もちろん両設問ともそれなりの論理的な解法が求められるわけですが、しかしその中で、どちらを選ぶかという二社択一の問題ならば、えいやっ!でやっても答えだけは合う可能性だってあるわけです。 そこでいざ、この具体的な数値を出そうとすると、ハタと壁にぶつかってしまいます。というのも、どのような問題にしろ、その中で速さと時間が云々されていれば、当然距離が関係してくることになります。ところがこの設問の中には一切、具体的な距離の数値が出ていなくて、そんな中で時間の数値を求められているからです。 2点間の距離 : Lkm とすると、飛行機の速さは 従って飛行機が風のあるときに2点間を往復するのにかかる時間は そこで設問の命題から(1)が1時間かかったとなっていますから、 このような解き方をされた人たちの中には、な〜んだ、こんなことだったら普通の数学の問題と同じで、グーグルやマイクロソフト社の面接試験に出るような、いわゆる考えさせるといった論理思考を問う問題とは少々違うではないか!さもなくばスピードを見るための設問なのか、しかしスピードを見る問題にしては、あまりに単純すぎてどこにも考えさせるような内容の設問ではないではないか、との疑問を抱かれた皆さんも多かったのではないでしょうか。 その通りです。どこか間違えてしまいやすい落とし穴でもあるのかと、一旦は疑問を持つものの、単なる代数の式を解いていくだけで確実に答が出てくることから、これ以外の正解はないはずだとされた方もおられたはずです。 こんなとき、面接官から「この問題は代数を使わないで解きなさい」と言われたとしたらどうでしょうか。 どうでしょうか、方法が見つかりましたか。それでは、次に進みます。 では、この時間というものを考えてみますと、飛行機はジェット気流の2倍の速さだと言っているように、その中でベースとして基本となっているものは、ジェット気流の速さであることがわかります。 そこで基本となるジェット気流がこの2点間を通り抜ける時間を1単位と考えれば、飛行機がこの2点間を通り抜ける時間としては、 ここで設問の内容に戻れば、この中に具体的な時間が出ているところがあるということです。そうです。この(8)が1時間と出ているわけです。 実際にこの設問は、当初、そのままを出題されたそうで、結果、代数を使って意外と易しく解けそうだと、問題に取り掛かり始めた受験者は、突然、面接官から「代数を使ってはいけないと」と言われ、途端に動転、最後までスムーズにいかなくなったという人も多かったようです。 代数というのは、数式を使って簡単に解答を導き出せるあくまでも1つの手法であって、代数を使わなくても、ベースとなる基本的な考え方さえできていれば、どんな問題も必ず解けます。鶴亀算など思い出してみてください。 それでは解答です。 |
|
では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
|
前号へ | 次号へ |
ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
※この連載記事の著作権は、執筆者および株式会社あーぷに帰属しています。無断転載コピーはおやめください