その77 |
自分もその場の当事者になったとして、論理を展開してみる |
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面接試験に出題される問題の中で、代数を使えば簡単に解けるような問題でも、基本的な考え方さえできていれば、どんな問題でも代数の力を借りることなく解けることから、そのような基本的な考え方ができているかどうか、その辺の地頭力も見ようとしていたのが前問でした。 では、今号の問題はどうでしょうか。
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当連載シリーズの過去の問題にチャレンジされてきている皆さんの中には、この設問を見た途端、反乱者が何人いるかもわからないのに、どうして解答できるのか?との疑問を持たれた方たちも、かなりおられたのではないかと思います。 この設問は、どうやら自分以外に登場する他の人間の行動や発言などをベースに、彼らの思考判断を参考にして解いていかなければならない論理思考の問題のようです。 ところが、設問49の不貞村の問題では50組の夫婦、設問51の問題では5人の海賊、設問59では3人の生徒というように、すべてあらかじめ登場人数がわかっている中での出題です。しかし当設問77ではその登場人数がまったく出てきません。 そこで設問73で詳しくリストアップした解答への手がかりや糸口、突破口になるものを振り返ってみますと、当設問77は「複雑に見える問題、数量が多い問題、読んだだけで気後れしてしまう問題、思考が発散してしまいそうな問題、長々とした文章の問題」の問題に該当しそうで、またいくつかあるその対処法の中では、まず最初に「小さな数字や量で単純化、シンプル化してやってみる」が相当しそうです。 そこで少ない人数として、まず試しに反乱者がそれぞれ2人〜3人の場合を考えてみます。またこの設問では、赤の刺青反乱者が一歩前に出るとありますので、行動を起こすこの赤刺青の反乱者を基準にして考えてみます。 まず2人の場合。これは簡単です。 では3人の場合。この場合は赤者1人と青者2人の組合せのケースAか、赤者2人と青者1人の組合せのケースB(図1)か、どちらか2通りしかありません。 ところがこの列の前に出ないという事実があった後なら、この赤者2人が自分は赤者だとわかるということです。なぜならこの2人のうちのどちらかが青者であれば、その残りの1人が自分は赤者だとわかるからです。 このケースで、この赤者2人を赤者(1)及び赤者(2)とし、この列の前に出ないという事実があったあと、2人の考える思考をみてみますと、 さて、この段階で解答へのキーとなる2つのことがわかり、もうこの設問は解けたも同然なのですが、その2つこととは何かわかりますか。 重要なポイントとは、青者が何人いてもこの論理は変わらなく、この赤者2人のときの説明文で「3人目の」部分を「その他すべての」にするだけで、そっくりそのまま使えるということです(図4)。つまり、 もう1つの普遍性とは、この重要なポイントをもとにして、赤者が増えていくにしたがって、赤者たちが前に出るべき日にちが増えていくだけだという普遍性がわかるということです。 以下同様に赤者4人の場合も、自分に見える赤者が3人だけだったら、3日目に動きがあるはずなのに、その動きがないということは自分が4人目の赤者だと3日が終わったところでわかり、反乱者はみな論理的だと設問にもあるように、赤者4人ともこの中身を理解し、4日目に列の前に出る行動を起こすということです。この過程は人数が増えても普遍的に変わらないわけです。 数量が多いと思われる設問は、まず少ない数量でやってみることが大前提ですが、当設問のような場合には、自分も赤者(1)になったようにその参加者になったつもりで、もしもその当事者ならどう考えるかを論理展開してみると、スムーズに解答へと辿り着けることになるということです。 さて、この設問をもう少し複雑な内容にすることもできます。それは赤者、青者のどちらでもいいから列の前に出て、正しく揃えば開放されるとするものです。もちろんここまでの解説を見てこられた皆さんはわかると思いますが、自分から見ていずれか数の少ない色者の人数が基準となって開放日が決まるということです。 この設問の背景は、解説したような論理思考ができるかどうかを見ようとするのが主ですが、同時に重要なポイントとして、青者が何人いてもこの論理は変わらないということや、またそこに潜む普遍性に、いかに早く気付くかどうかなども見ようとしていると考えられます。 それでは解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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