その79 |
発想の転換、また、1つの解答で安心しない |
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当連載「その70」で、「光よりわずかに速いニュートリノ素粒子があるのではないか、という国際研究グループの発表した話題が、先ごろ紙上をにぎわしていますが、まだ認証されるまでの実証が不足していて市民権を得たわけではなく・・・」と解説しましたが、先日の2012年6月8日、光ケーブルの接続不良という実験設備に不備があったことが発表され、やはりこの世で一番速いのは光速であるとのアインシュタインの説は依然として正しいという結果に落ち着きました。 さて、どこかに落とし穴がひそんでいるのではないかと思わせた前回の紙幣の問題は、注意深さとスピード回答の能力を見ようとした問題でしたが、皆さんは可能な取り出せる最大枚数について素早く気付き、15〜30秒以内で解けましたか。 では、今号の問題はどうでしょうか。
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設問の内容をみてみますと、まさに日常起こりそうな問題です。この解決方法がずばりわかれば、すぐにでも応用が利き、おおいに役に立つはずです。 その連載の中には、外見上まったく見分けや区別のつかない玉とか硬貨を他のものから見分けるといった2つの設問がありました。 一方、手がかり、糸口、突破口という切り口でまとめて解説してある当連載のその73を覗かれた方がおられたかもしれません。 ということは、これは新しいタイプの設問として、改めて地頭力を発揮してもらわなければならない問題のようです。 ではどうやってその特定をするのか。 そこで日常的な比重がダメなら、もはや他になす術がないではないか、もうお手上げしかないとして、ここでサジを投げたらお仕舞いです。 そこでもう少し突っ込んで考えてみます。実は、この日常的という観点に焦点を当てれば、比重の法則の発見がまさにそれに当ります。 このアルキメデスを長く苦しめたことがハッと気づかせてくれるもの、実はそれが今回の設問のヒントになるということです。 そのヒントとは何か。彼を苦悩させたのは、王冠を壊すことができなかったということです。そうです。発想の転換、今回この設問の錠剤の場合は壊すことができるのです。 たしかにそれは至難の技です。それを困難にさせているものは、この3錠だけではAとBのバランスが取れていないということに起因するものです。 では、二等分する方法はどうするのか。アルキメデスは風呂でその原理を発見しましたが、この錠剤の場合は透明なグラスがあれば充分です。グラスに水を注ぎ、その中にこの4錠を入れて充分均等に混ぜ合わさるまで溶かし、それを半分ずつにすればいいわけです。 次に、グラスの溶液をどうやって均等に二分するのかという問題が残ります。それには同じグラスが2個あれば充分です。4錠が溶けている溶液の入ったグラスから、もう1つの空のグラスにその溶液を注ぎ、両方のグラスの溶液が同じ高さになるよう互いに調整してやれば、それで半分ずつになります。いたって日常的な解決法です。 ところがここで、めでたし、めでたしと、手を打ったら合格はおぼつかないのです。なぜだかわかりますか。それはこの他にも方法があるからです。 どうでしょうか。わかりましたか?やはり次の方法も、まずは手のひらで4錠にしてから壊すことにあります。 ここでまた疑問を持つ方がいるかもしれません。たとえ鋭利なカミソリで切断しても、正確無比に半分などにはできない、というものです。 この設問の背景は、3錠だけというところにとらわれず、4錠にすれば二分できるという発想の例からもわかるように、固定した1つの現象だけにとらわれず、日常起きがちな問題に出くわしたとき、発想の転換や柔軟な思考、あるいは論理的な思考ができるかどうか、またねばり強い実行力や行動力の持ち主かどうか、さらには1つの解答が見つかっても、もっと他に解決法あるのではないかと、どこまでも注意深く追い求める探究心の持ち主かどうかなども見ようとするものです。 形も色も大きさもまったく同じ錠剤ということで、おそらく世界中でこのようなハプニングが起こっていたものと思われます。しかし、なるべくこのようなことが起こらないよう、今では持ち運びが容易なことに加え、一般に多く見られるプッシュ式で確実に1錠ずつ取り出せるアルミ箔に収められた錠剤や、また、より一層確実にするために刻印された錠剤も多くなっています。 それでは設問79の解答です。解答には2つの方法があり、2つとも解答した応募者は確実に合格です。 |
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グラスで解いた問題が出てきたところで、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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