その84 |
論理思考のほかに、アナログ解答もある |
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全員の給料が個々にわからなくても、その平均値は出せるという方法を問う前問では、解答が2つあるということで、たとえ1つ方法がわかっても、それで安心しないでもっと注意深く掘り下げて考えよと、さらなる考慮を促す問題でした。 それでは、今号の設問はいかがでしょうか。
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以前にも言及しましたが、「正解はこうです」といった、いきなり正解に飛ぶ解答形式では、正解に至るまでの考えを巡らして行く道筋がすっぽりと脱落してしまうことから、どうしても思考力を培うことができません。 では、本設問を考えてみます。 この設問59のことを思い出した方たちは、すぐに「な〜んだ。一体、どこが違うんだ」と、その中身の検討に入っていかれたかと思いますが、設定が同じような問題であっても、やがてこれらは本質的に違う設問であることに気付かれたはずです。 ではどこが本質的に違うか。その違いは2つあります。 もう1つの違いはと言いますと、リュックの場合にはあらかじめ部外者が、少なくとも1人は赤色のリュックを背負っている、とその状況を生徒に教えていることです。 そこでリュックの場合の正解には、この状況説明がキーポイントだったことを思い出していただければ、当設問84もこのあらかじめ決め事ができるという点が、重要なキーポイントだということがわかるわけです。 では、いよいよ正解に至る道筋の解説に入ります。 でも、これをふまえて3人目、5人目・・・と、飛び飛びに前の生徒の色を言っていけば、4人目、6人目・・・の生徒は正解になりますから、少なくとも半分は当たり、さらにこの場合、3人目、5人目・・・の生徒が4人目、6人目・・・と同じ色である場合もありますから、この方法なら半分以上の生徒は表彰状を手にすることができます。 でも、もっと他に方法はないか。そこで解答への手がかりや糸口、突破口を探る方法として、設問73にまとめてある対処法を考えてみますと、当設問の場合は「小さな数字や量で単純化、シンプル化してやってみる」が必須です。 そこでまず、生徒が3人の場合を考えます。説明をし易くするために、便宜上ここで3人の生徒を最後列からA、B、Cとします。そしてそこでの帽子の色の組合せは4種類になります(図1)。 まず前者の場合は、Aが赤か白と言うことにより、この(1)、(2)、(3)、(4)のうちの1つを特定しなければならないということです。つまり2つの言葉で4つを判別せよということですから、これは不可能です。 では、後者の順ぐりにわかるような方法はあるのか。ここが地頭力の発揮のしどころです。この(1)、(2)、(3)、(4)の4つを、何とか2つの場合に凝縮した伝え方がないものだろうか、と考える力です。 つまり、AがBとCの色を数えて、赤が偶数あれば赤、奇数あれば白と言う、というふうにあらかじめ決めておけば、Aの回答を受けてBはCの色をみて、正解を答えることができ、またCはAとBの回答を聞いて自分はどちらの色かを答えることができるわけです。 ここまでくれば、もはやほとんど解けたも同然です。この偶数、奇数という数え方は、生徒数が増えても普遍だからです。 さらにそのあとCは、そのBの回答と残りのDの色とを照合すれば、偶数か奇数かで色の解答できます。Bが赤と言って、Dが赤の場合はCは白、Dが白ならばCは赤と分かります。最後のDは、BとCの言った色を照合すれば、自分の色がわかるというわけです。 このように考えていけば、人数がふえても同様な方法で、当の生徒は前の生徒の言った色と残りの生徒の色を合計した数とを照合していけば、自分の色がわかり、こうして順繰りに30人目まで正解が得られるわけです。 しかし、めでたし、めでたしと、ここで安心してはダメなのです。これ以外に方法はないのかと、さらに貪欲に考えることです。そこでまた地頭力を働かせて、再び3人の場合をじっくりと考えてみるわけです。 そこでこの連載をずっと読んでおられる方は、設問その6のスイッチの問題を思い出してください。そこではびっくり!五感のうち触覚を使った方法が解決してくれました。 ただし一番最初に答を言う最後列の生徒は、二番目の生徒の正しい色を言い、二番目以降の生徒は後ろから伝えられた色をそのまま言うが、前にいる生徒の色を見て、赤であれば低い声で自分の色をボソボソ、白であれば自分の色を高いトーンではっきりと言えばよいわけです。こうすれば、後ろの生徒は自分の色とは関係なく、前にいる生徒の色を正確に順繰りと伝えていくことができます。 以上、高い確率で表彰状をもらえる方法として、偶数と奇数を使った論理思考による方法と、五感を使ったアナログ方法とを解説しましたが、この設問の背景はどの程度まで論理思考ができるか、あるいはまたアナログ的な解き方も発見できるかどうか、その解答手法から当人の資質を見ようとしているものです。 それでは設問84の解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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