その92 |
日常感覚を惑わす設問には起こり得るケースを。 |
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地球よりも月で重くなるものは何か?という前問では、大気が大きく関係していることがわかりましたが、先日、日本独自で開発した衛星打ち上げロケット、イプシロンが見事に飛びだち成功しました。 液体燃料を使うH2Aの総発射費用が85〜120億円かかるのに対して、イプシロンはわずか38億円で済み、固体燃料を使っているため取り扱いも便利で、非常に小回りのきくロケットとして、今後の幅広い衛星の打ち上げに貢献してくれることが期待されます。 さて、今号の設問はどうでしょうか。
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いったいこの設問は、何を問おうとしているのか。 というのも、もしもAがあなたで、Bがあなたの友人だったらと、そのときの光景を頭に浮かべて考えた皆さんも多かったと思うからです。 しかし、試験問題に出るような確率の問題はよく考えなければなりません。これまでいろんなジャンルの問題を含めて、当連載の設問をすでに90問以上見てきていますが、その中で確率に関係する問題は13題に及んでいます。確率問題が多い理由は、論理思考の過程を見るのに格好の課題分野だからです。 ではちょうどよい機会なので、それらの主旨と特に注意すべきポイントをここで詳しく整理し、当設問を解く糸口を探ってみることにします。
この主旨の欄で「確率計算」とあるのは、設問の本質を注意深く計算をしていけば、必ず解答に辿り着くという問題でした。
特にこの中の「宝石箱」や「カード3枚めくり」の問題は、設問の状況下でどうして正解がそうなるのか、日常の感覚からはなかなか納得しがたい問題でした。 さてここで、突然、意図的に当設問92の解答を出してみます。 このAとBの状況で起こり得る全ケースは このうちの(1)は、設問の大前提である「Aはスマホを操作しているとき、Bはスマホを操作していない」に反していますから除外します。 さて、確率に関するこれまでの設問を整理説明している最中に、突然、当設問の解答に入った理由をこれから申し上げます。 世間一般に目にするパズル集などは、ほとんどが問題文とこの青字の解答部分だけで終わってしまいます。正解はたしかにその通りなのですが、これでは解答に至るまでの思考過程という重要な部分が欠落してしまっているため、肝心の思考能力を培うことができないのです。いわゆるその総合的な意味での地頭力です。 解答がわからなかった人たちには、このようないきなりAとBの状況で起こり得るケースの解説を見て、どうしてそのような発想が浮かんできたのか、どうしてそこに着眼したのかわからないはずで、結果、「思いつき」でそうなったと受け止められてもしかたありません。 前設問の解説でも詳しく述べましたように、実際のビジネスの現場では、学校で教わらなかった場面に遭遇することが日常茶飯事になってきていて、明日何が飛び出すか、何が起こるかわからないという、ますます先行き不透明な状況になってきています。 したがって、その思考の道筋がしっかりとわかる解説が不可欠だということから、まずは過去の確率に関する設問を整理した形で見ていただいたわけです。 では、その必然性の解説に入っていきます。 これらの設問群では実際に起こり得るケースを調べてみて、はじめて日常の感覚とは違った確率が導かれました。 したがって、日常の感覚から単純な確率が頭に浮かんでくるような設問では、常に「分母となる数」を念頭にしてから取組む、つまりここでは「起こり得るケースを調べてみる」というのが、思いつきではなく、解法への必然的な出発点になるということです。 ところで条件がどうであれ、Aをあなたにして、Bをあなたの友人とすると、あなたも友人も勝手にスマホを操作しているわけですから、どうして「友人がスマホを操作しているとき、あなたは100%スマホを操作していない」などということが断定できるのか、なかなか腑に落ちないところが残ります。 本設問の出題背景は前述のように、起こり得るケースを調べ、論理的な思考で解いていく能力の持ち主かどうか、を見ようとしているものです。 それでは設問92の解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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