その94 |
不自然な点に気づき、そこに焦点を当てる |
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前回のその93問題では、手術用の手袋の裏返しということで、刑事コロンボのネタとしても取り上げられていましたが、皆さんは完全に解くことができましたか。 さて、今号の設問はどうでしょうか。前問と同様に、最後まで気を抜かないことです。
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この設問を例によって整理しますと、 当連載を愛読されている中には、たまたまその設問によっては中学受験組や中学生組も混じっておられるようで、その中には、“いや一方は状況が違うから特定できたんだ”として、後からのお客は千円の福袋を指差して注文した、あるいは受付のところにある表示を指定して注文した、というような見方もあったようですが、しかしこれだと「指差す」あるいは「指定する」といった特別な行動が必要となり、一般的な解答としてはすっきりとしない無理が見られ、またどこにも「思考」をうながすようなところのない設問になってしまいます。 一方、皆さんの中には、“な〜んだ、こんなの簡単ではないか”とすぐに、あるいはそんなに時間をかけず、答を出した方たちも多くおられたかもしれません。 それでは解説です。 ところが、そのごく一般的ではない反応を示したのが(2)の場合で、つまり不自然な反応だということです。「なぜ」聞き返さなかったのか、というこの不自然さこそが問題の解明につながるポイントであると気づき、そこのところを深く追求していけば解答に近づくはずだということです。 それはなぜか、わざわざ900円を出さなくても、すでに700円あるからです。つまるところ釣銭が要らない形で支払われている場合には、受付は聞き返さないということです。結果、その形とはコインによる支払いです。 したがって、(2)のお客はコインで1000円出したということですが、その方法としては、1円コインが1000個の場合もあれば、100円コイン10個の場合もあります。あるいは1円コイン5個に5円コインが1個と100円コインが9個の場合もあれば、10円コインが5個に50円コインが1個と100円コイン4個に500円コインが1個の場合もあります。 しかし、1000個の1円コインで支払うなどということは、あまり現実的にはないことです。というのも、支払うほうもそうですが、お店のほうではもっと迷惑なことです。 そこで設問の解答として、全部の組合せをいちいち試験会場で披露するわけにはいきませんから、それらを一言にまとめますと、「次にきた(2)のお客はコインで支払ったから」になります。しかし、そこには落とし穴があるのです。これでは完全な解答にはなっていないということで、減点になります。 そうです。それは500円コイン2個を受付に出した場合です。この注文の場合、受付は釣銭が必要になることも含まれるために、聞き返さざるを得ないということです。 さてこの設問の背景は、まず1つ目、問題をいかに注意深く読んでいるか。2つ目、受付が聞き返さなかったポイントに、いかに早く焦点をしぼることができるか。3つ目、解答が出ても、それで万全かを検証したか。などの資質の持ち主かどうかを見ようとしているものです。 さて、この設問に関連してちょうどよい機会なので、ここであなたが日常、どの程度通貨というものに注意を払っておられるか、あるいは関心を持っておられるか、次の3つの問題で試してみてください。
いかがですか。毎日、目にし手に触れているにもかかわらず、以外と正確な感覚でとらえていないことがわかるのではないでしょうか。(通貨課題の解答は、当欄末に掲載) それでは設問94の解答です。 |
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では、その出題背景を考えながら、次の設問を考えてみてください。 |
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貨幣課題の解答 1.原価コスト順(数字はおおよその原価) 1万円は22円ほどで作ることができ、1万円札を作るよりも100円コインのほうが高くついています。また5円玉と1円玉は、それぞれ実額よりも高い原価コストがかかっていて、原価率で言えば、一番高価なお金は1円ということになります。また、紙幣は日本銀行が発行し、コインは日本国政府が発行しています。(コストの情報源は財務省印刷局) 2.大きさ順(数字は直径)この解答と比べて、皆さんの日常感覚はいかがでしたか。 |
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ビル・ゲイツの出題問題に関しては、HOW WOULD YOU MOVE MOUNT FUJI ? (Microsoft’s cult
of the puzzle. How the world’s smartest companies select the most
creative thinkers. )By William Poundstore の原書や、筆者の海外における友人たちの情報を参考にしています。 また連絡先不明などにより、直接ご連絡の取れなかった一部メディア媒体からの引用画像につきましては、当欄上をお借りしてお許しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。 |
執筆者紹介
テレビ出演と取材(NHKクローズアップ現代、フジテレビ、テレビ朝日、スカパー)
出版
連載
新聞、雑誌インタビュー 多数
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